日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER

元日本代表の波戸康広氏が分析する、
“ブレイク予備軍”酒井宏樹の課題。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2012/02/09 10:31

元日本代表の波戸康広氏が分析する、“ブレイク予備軍”酒井宏樹の課題。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

FIFAの公式サイトで「今年注目の若手選手13人」にも挙げられている酒井宏樹。サイトではバルセロナのダニ・アウベスと比較されているが……クラブW杯に続く、ロンドン五輪での世界的プレーが期待される

 ロンドン五輪出場を目指すU-23代表はアウェーでシリアに敗れ、2位に転落した。ピンチに陥ったのは間違いないが、勝ち点でシリアに並ばれて、得失点差は同じ「+4」、総得点で「1」下回っている状況に過ぎない。絶望的でも何でもない。残り2試合で勝ち点6を積み上げ、得失点差でシリアを上回ればいいわけである。そのことを冷静に受け止め、チーム一体となって本大会出場に邁進すれば、出場の可能性は決して低くないと断言できる。

 ロンドン世代にはさらなる奮起が求められる。

 かつて「アテネ経由ドイツ行き」との合言葉があったように、彼らの先輩たちは五輪予選、本大会のタフな戦いをステップにしてA代表にまで駆け上がっていった。現在、A代表で活躍しているロンドン五輪世代と言えば、香川真司は“別格”としても昨年ブレイクした清武弘嗣ぐらい。4年前、北京五輪本大会の年に長友佑都、内田篤人らがA代表デビューを飾ったように、今年はその数が増えていかないとA代表の底上げにもつながらなくなってしまう。

 この世代の“ブレイク予備軍”のなかで期待度が高まっている一人が昨年、柏レイソルの初優勝に貢献し、Jリーグ新人王、ベストイレブンを獲得した右サイドバックの酒井宏樹である。シリア戦における彼のプレーから、どういった非凡さ、課題が見えてくるのか。

 J1通算358試合に出場し、昨年限りで現役を引退した元日本代表サイドバックの波戸康広氏に分析してもらった。

「リスクを考えながら守備の意識を強く持っていた」

 精度の高いクロスを武器とするなど攻撃センスを買われている酒井。しかし波戸氏がシリア戦で注目したのはディフェンスの成長ぶりだ。日本は結果的に2失点を喫してしまったが、右サイドの守備は安定していたという。

「彼は攻撃力のイメージが強いが、守備の面でかなり向上していると思う。シリアは中盤の構成力が高くて、前線の選手はスピードもテクニックもあった。警戒していた酒井は裏のスペースをしっかり消していて、ポジショニングも曖昧じゃなかった。裏を突かれたのは、自分で見た限り1回ぐらい。身長もあるので空中戦ではほぼ競り負けてなかったし、左サイドにボールがあるときは必ず中に絞っていた。彼の判断は的確だったように思う。

 特に前半、前めにポジションを取れずにほとんど攻撃に参加できていませんでしたけど、あれは仕方ない。サイドバックの視点で言わせてもらうと、中盤でボールを支配できず、キープできない以上、高いポジションは取りにくいもの。相手の攻撃になって裏に出されてしまうと一転してピンチになる。この日の酒井はリスクを考えながら守備の意識を強く持ってプレーしていた」

【次ページ】 求められる仲間への指示とチャンスメークへの意欲。

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