野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
ファン感激のDeNA新ユニフォーム。
ピンストライプに込めた「継承と革新」。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byKYODO
posted2012/02/04 08:01
1月29日に行われた新ユニフォームお披露目会見にて。写真左端の三浦大輔投手が着ているのがピンストライプ柄のホーム・ユニフォーム。そこから右に、巨人から移籍したラミレス、中畑清新監督
うぉーオーオーオオオー♪……よーこはまでぃえぬえいベイす……よこはまでぃえぬスター……でぃえぬえベイスターズ……。
どうしても、字、あまる。
1月29日、新ユニフォーム発表会に向かう京浜東北線の車中でベイスターズの球団歌「熱き星たちよ」の歌詞をDeNAベイスターズ版にして何度も歌ってみたが、なんともしっくりこない。
翻ること4日前「熱き星たちよ」が一部歌詞を変えて存続するとの報道が流れた。
昨年末にチーム名が「横浜DeNAベイスターズ」に決定してからというもの、球団歌、マスコット、そしてユニフォームなど、横浜ベイスターズの遺産はすべて負の歴史として闇に葬り去られるのだろうと覚悟していただけに、このニュースは素直に喜ばしかったのだが、この歌の据わりの悪さによる漠然とした不安は消えないままだった。
マスコットのホッシー一家は橋の下に追いやられる!?
球団歌だけじゃない。マスコットはまったく新しいキャラクターが採用され、ホッシーとホッシーナ、ホッシーゾは戦力外という一部報道もあった。オリックスのバファローベルの成功例は確かに魅力だが、職を失ったホッシー一家は大岡川アンダーザブリッジの奇怪な住人になってしまうことを考えると実にしのびない。
そんな中、球団の広報部を問い質してみても
「球団としてはまだ公式には何も言えない状態です」
なんて言葉しか返ってこない。
桜木町駅前でのあり得ない光景に目を見張る。
そんなヤキモキを抱えたまま、新ユニフォーム披露会場のクイーンズスクエアへ向かうべく桜木町駅を出た途端、周囲の光景に驚いた。
「今シーズンの試合日程表でーす」
駅前の至るところでベイスターズのスタッフジャンパーを着た球団職員が大声を張り上げ、今季の日程表を街ゆく人に配っていたのだ。聞いた話によると球団職員総出、DeNA本社からも応援部隊を出してこの日のキャンペーンを行っているのだとか。
こんな前向きな姿勢、あり得なかった。1月の末、桜木町で、こんなとこにいるはずもないのに……。
さらに会場となったクイーンズスクエアには期待のあらわれか、約2000人のファンと報道陣約100人が集結。黒山の人だかりの最後方で舞台がまるっきり見えずユニフォーム発表も音声のみで迎える大誤算になったのだが、新ユニフォームへの不安が杞憂だったことは、発表の瞬間に舞台を見つめる多くの人たちの表情を見れば理解できた。