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<日本サッカー10大ニュース> 小倉純二会長と振り返る2011年 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byTadashi Shirasawa

posted2011/12/30 06:00

<日本サッカー10大ニュース> 小倉純二会長と振り返る2011年<Number Web> photograph by Tadashi Shirasawa
サッカーの年と言ってもいいかもしれない。
アジアカップで優勝を果たし、震災後はいち早くチャリティーマッチを開催。
海外へ移籍する選手はますます増え、そしてなでしこは世界の頂点に立った。
数々の偉業を成し遂げたこの年を、日本サッカーの発展を担う司令官と共に振り返った。

 これ以上のシナリオは、おそらく作れない。

 日本代表がアジアを制し、なでしこジャパンは世界の頂点に立った。若年層でも男女ともに成果をあげた。協会創立90年の節目となる2011年は、世界でもとびきりの成功を収めた1年と言って差し支えないだろう。

 実り多き1年を、日本サッカー協会の小倉純二会長とともに辿っていく。

◆◇2011年日本サッカー 10大ニュース◇◆
  1月29日 AFCアジアカップ優勝
  3月29日 東日本大震災復興支援チャリティマッチ
  5月17日 コパ・アメリカ出場辞退
  6月29日 FIFA U-17 W杯ベスト8進出
  7月17日 女子W杯優勝
  8月4日 松田直樹選手逝去
  9月8日 女子フル代表ロンドン五輪出場決定
11月11日 男子フル代表W杯最終予選進出決定
       23日 AFC年間アワードで日本が9部門受賞
12月3日 柏レイソルがJ1優勝

FIFAブラッター会長が語る、なでしこが起こした“革命”。

――2大会ぶりのアジアカップ優勝で、'11年は幕を開けました。

「優勝はしたけれど、紙一重でしたね。韓国との準決勝はPK戦で、決勝戦も延長戦までもつれた末の勝利ですから。女子W杯にも同じことが言えます。準々決勝が延長戦で、決勝戦はPK戦へ持ち込まれている。粘り強く諦めずに戦い続けたからこその成果ですが、運が味方してくれたところはあるでしょう。慢心しちゃいけないですよ」

――そのギリギリの戦いを制したところに、成長を読み取ることもできます。

「女子の優勝については、FIFAのブラッター会長が褒めてくれましてね。『過去のW杯は、アメリカやドイツのように大型選手を擁する国が結果を残してきた。今回の日本は小柄でありながら、個々のスピードと素早いパスサッカーで、これまでにない女子サッカーの部門を確立した。革命を起こした』と」

日本の女子サッカー人口を増やすために必要なこと。

――試合後に選手たちが掲げた、震災支援への感謝を示すバナーは印象的でした。

「FIFAには色々とルールがあって、最初は試合前の練習の時だけ許可されていたんです。でも、試合後にもバナーを掲げてみたところ、じゃあ『次からは試合後もいいよ』となった。男子のU-17W杯でもビーチサッカーW杯でも、同じように挨拶ができて。FIFAの大会で、世界へ向けて御礼を伝えられたのは良かったなあと思います」

――FIFAを動かしたのは凄いですね!

「FIFAのホームページに、『日本は世界に御礼を伝えた』と掲載されました。アメリカの新聞の一面にも、『日本は礼儀正しい国だ』と書かれましたよ。女子W杯のときは、ちょっとした笑い話があってね」

――と、言いますと?

「練習の前になでしこの選手たちに、『日本は色々と助けて貰っているから、バナーを振ってくれ』と話したんだけど、『バナナを振ってくれ』って聞こえたらしいんですよ(笑)。試合会場へ行くバスのなかで、澤が僕に耳打ちをするの。会長が『バナナを振ってくれ』って仰ったとみんなが言うので、バナナじゃなくてバナーと訂正しておきましたって」

――(笑)。それはともかく、W杯優勝は女子サッカー発展の好機になりましたね。

「W杯決勝の前にアメリカの会長と話したら、登録人数の43パーセントにあたる220万人が女子だと言うんです。一方、日本は3万8000人。小学生までは男子と一緒にできるけれど、中学生になるとプレーできる環境が減ってしまうのが課題だなあと。我々としては、Jクラブに女子チームを持ってもらうよう働きかけています」

【次ページ】 唯一計画どおり行かず、断念したコパ・アメリカ。

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