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大震災を乗り越えて
流経大、悲願の初優勝。
~ラグビー大学選手権へ挑む~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2011/12/17 08:00

大震災を乗り越えて流経大、悲願の初優勝。~ラグビー大学選手権へ挑む~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

歓喜に沸く流経大フィフティーン。リーグ戦優勝校として、18日開幕の大学選手権に挑む

「震災で練習スタートが1カ月遅れたこと、グラウンドが使えなかったこと……厳しい状況の中で、学生と一緒に頑張ってきたこの数カ月のことが、頭を巡りました。いい瞬間でした」

 流通経済大の内山達二監督は、学生たちの腕で胴上げされ、宙を舞った感想を、感無量の表情で振り返った。

 11月27日、秩父宮ラグビー場で行なわれた関東大学リーグ戦グループの最終戦、'07年から29連勝中、リーグ戦最多タイに並ぶ5連覇に王手をかけていた東海大との対決。流経大は14点をリードしながら後半残り5分で追いつかれたが、ロスタイムにボールを奪い返し、WTBジョセファ・リリダムからパスを受けたFB小澤大がインゴールへ。右手を高く突き上げての歓喜のダイブは、創部47年目、1部昇格15年目の初優勝という悲願成就のビクトリートライだった。

初出場で大学選手権4強入りを目指す。

 3月11日の東日本大震災で、茨城県龍ケ崎市にある流経大のグラウンドは大きな被害を受けた。排水設備が損壊し、クラブハウスの真下には深い地割れが走った。大学は閉鎖され、始動に向け集合したばかりの新チームは解散。帰省できない外国人選手ら寮に残った部員たちは、給水所になっていた小学校へ水を運ぶなどボランティア活動に打ち込んだ。

「練習できない焦りはあった。でも人として、するべきことがあると思った」と鹿田翔平主将。「地元で困っている人たちの役に立ちたかった。その経験が試合で力になったかどうかは分からないけれど、自分たちの誇りになっています」

 練習再開後は「1カ月の遅れを言い訳にしない」を合言葉に、選手主導で練習を大幅増。午前7時からの朝練は夏合宿を経て公式戦シーズンに入っても続いた。

「朝練では走り込みと肩車での階段登りを1日おきに繰り返して、午後の練習は徹底してコンタクトフィットネス。ずっと筋肉痛でした」と苦笑するのは、核弾頭のLO小野寺優太。NO8イシレリ・ヴァカウタは135kgあった体重を15kg絞り、突破力に加えスタミナが向上。それが、従来なら失速していた後半の最終盤、ロスタイムのサヨナラ劇に結実した。

「目標は国立競技場に立つことです」と鹿田主将は、まだ見ぬ大学選手権4強入りを誓った。正月戦線に、被災地から新しい風を吹かせてみせる。

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