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W杯で痛感した
育成環境改善の必要性。
~大学ラグビーに期待すること~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byYuka Shiga

posted2011/11/18 06:00

大学選手権3連覇を狙う帝京大の主軸・南橋直哉は、NZのクルーデンと同じ1989年生まれ

大学選手権3連覇を狙う帝京大の主軸・南橋直哉は、NZのクルーデンと同じ1989年生まれ

 この若さはいったい何なんだろう? W杯の間、ずっとそれが気になっていた。3位決定戦は、先発に23歳以下の選手が豪州に21歳のWTBジェームズ・オコナーら7人、ウェールズには19歳5カ月でW杯全7試合に出場したWTBジョージ・ノースら5人もいた。この試合は欠場したが、主将のサム・ウォーバートンは開幕時はまだ22歳という若さでウェールズを24年ぶりの4強へ導いた。決勝を戦ったNZとフランスは、先発SOが揃って22歳のアーロン・クルーデンとモルガン・パラ。ともに負傷で途中退場したのは残念だったが、世界の頂点を決める戦いで、2人の司令塔が大学生の年齢という事実には、ちょっとクラクラしてしまった。

 クルーデンは、2年前のJWC(U-20世界選手権)日本大会で優勝したNZの主将だ。あれから2年。今度は大人のW杯に、大黒柱ダン・カーターの負傷で急遽追加招集され、物怖じしないプレーで世界一に貢献。豪州に完勝した準決勝後、自信に溢れたプレーぶりを尋ねると、「この2年間、TM杯(州代表選手権)やスーパーラグビーで経験を積んで、ゲームマネジメントを学んできたからね」。

 クルーデンは目を輝かせて答えた。

佳境を迎える大学ラグビーで、勝敗以上に注目したいこと。

 '09年JWC組からは他にも豪州のFBカートリー・ビール、205cmの長身に甘いマスクのスコットランドLOリッチー・グレイら主役級の活躍を見せた選手も続々。4年後どころか、日本で開催される8年後のW杯まで見据える才能が、世界では既に檜舞台に上がっている。

 そんな彼らと同じ立場で戦っていたのが、現在の大学3~4年生だ(U-20の主将を務めた有田隆平や豊島翔平ら、早生まれの社会人1年生も一部含む)。CTB南橋直哉(帝京大)、SO立川理道(天理大)、FL山下昂大(早大)らが、世界の若い才能たちにタックルを繰り返し、そして敗れ涙した姿は、今も瞼に残る。

 W杯を見れば、若手育成環境の改善の必要性は明白だ。日本協会の矢部達三専務理事も「大学の再編」を明言している。だが一方で、今季の戦いが現状のフォーマットで行なわれていることも事実だ。

 これから佳境を迎える大学ラグビー。勝敗だけでなく、W杯で躍動する同世代の姿を目にした選手たちが、どんな思いを込めてプレーするのか注目したい。

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