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国際化の第一歩で揺れた今季のNPB。
投打における統一球対策の結論は? 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2011/12/15 10:30

国際化の第一歩で揺れた今季のNPB。投打における統一球対策の結論は?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

今オフには1億円増の年俸2億2千万円(推定)で一発サインの契約更改となった内海哲也。統一球の特性をよく活かした投球内容で18勝し、見事最多勝のタイトルを獲得した

 今年から導入された統一球により、「プロ野球は変わった」と言われている。

 そのことを検証するかのごとく、シーズン序盤から、スポーツ紙をはじめ様々な媒体が、あらゆるデータを用いて昨年までとの数字を比較する。つい先日も、日刊スポーツが「統一球元年」を総括する特集記事を掲載したばかりだった。

 統一球の詳細を改めて説明すると、昨年までのボールと比べ、縫い目の幅が1ミリ広く、高さが0.2ミリ低い。周囲を覆う牛革も、背中側の部位に脇や腹部も加わり、製造も日本から中国となった。より国際基準に近づける意味でも、あえて作りを雑にしたのだ。

 なかでも一番の変化は、ボールの中心にあるコルク材を包むゴム材が新たな低反発素材となったことだ。これにより、約1メートルもボールが飛ばなくなったとされている。

 統一球導入直後に囁かれていたことは、縫い目や革質が変われば、指にボールが引っ掛かりすぎ、かつ滑りやすくなることで投手は苦労するかもしれない。かたや、打者はホームランが出にくくなるなど、どちらかと言えばネガティブな印象が多かった。

防御率1点台に完封試合が激増の“投手天国”。

 しかし、いざ蓋を開けてみれば、投手に有利、打者にとっては不利と明暗はくっきりと分かれた。

 この1年は、まさに“投手天国”だった。

 昨年はひとりだった防御率1点台も今年は6人となり、完封勝利も両リーグ合わせて70試合も増えた。

 その理由を挙げるとすれば、「縫い目が指にかかる」「滑る」「飛ばない」といったボールの特徴を有効活用できたからだろう。

 巨人の内海哲也は、春季キャンプから「違和感はありません」と自信を覗かせていた。

「特に、スライダーとか横の変化球は曲がりやすくなりました。シーズンでも大きな武器になってくれると思います」

 この言葉通り、今季の内海は、最多勝となる18勝をマーク。防御率もリーグ2位の1.70と圧巻の数字を残した。

【次ページ】 飛ばないボールの特性を活かしたヤクルト・館山。

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