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阪神の今を最もよく知る男、
和田新監督が直面する難題。
~勝利と育成は両立できるのか?~ 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/12/04 08:00

阪神の今を最もよく知る男、和田新監督が直面する難題。~勝利と育成は両立できるのか?~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

秋季キャンプで選手を見守る和田豊新監督。有田修三、藪恵壹、関川浩一らが新入閣した

 阪神が野村克也、星野仙一という外部監督を招聘して体質改善を図ることができたのは、今は亡き久万俊二郎オーナーの存在があったからだ。その後、岡田彰布、真弓明信と阪神OBが続いた後、32代目の監督に就任したのは、チーム生え抜きで、内部昇格の和田豊だった。「49歳の若さでどこまでやれるのか」という声が上がっているが、必要以上に気苦労の多い“人気球団の監督”という仕事を考えればそれも不思議ではない。

 和田に監督就任の要請があったのは、外部からの招聘を断念した直後のことだった。内部事情に一番明るいからという理由だったが、それもそのはず、選手兼任コーチだった'01年に引退し、その後もずっと阪神のコーチを務めている。

 千葉・我孫子高では甲子園を経験、日大時代はロス五輪を経験する花形プレイヤーだったが、プロに入るや打撃スタイルを一変させた。「パワーでは自分よりもすごい人がたくさんいる。競争しても勝てるわけがない」というのが理由だった。その後、徹底した右狙いのバッティングを貫き、ベストナイン2回、ゴールデングラブ賞も3回受賞したが、この頃、阪神は低迷期を迎えている。弱い集団の中でチームバッティングを主張しても浸透しないということを、和田は身をもって感じていた。

「自分の色を出す」と語る新指揮官が目指すもの。

 だからこそ、新監督としての第一声は「チームとしての一体感を持つ」だった。“叱るときはキチンと叱って、勝てるチームへの衣替え”が和田監督の目標だ。

 打撃コーチ時代には配球メモを作り、試合中にマートン、ブラゼルらに見せ続け、見事結果を出させている。ある意味では、セオリー通りの野球を実行できる指揮官と言えるだろう。とはいえ現在の阪神は、星野時代に大金を投じて獲得した選手たちの年齢が上がり、新旧入れ替えが必要になってきている。そればかりか、チーム総年俸が12球団トップでありながら、今年はBクラスに低迷。勝利しながら若手を育てるという、一番難しい局面に立ち向かわなくてはならない。

 自分の色を表に出そうとしなかった真弓前監督の下で働いていた和田は、「自分の色を出して、前向きに競わせる」と“競争意識”を強く打ち出している。和田の挑戦は、思いがけないストーリーを阪神にもたらすことができるだろうか。

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