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2011年、本命が敗れ
伏兵が勝利した理由。
~ヤンキースに足りなかったもの~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2011/11/15 06:00

2011年、本命が敗れ伏兵が勝利した理由。~ヤンキースに足りなかったもの~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

ヤンキースのジラルディ監督は、「先発陣の再構築が来季に向けた最優先課題」と語った

 美酒に浸ったのは、ヤンキースでもフィリーズでもなかった。2011年のメジャーリーグは、伏兵カージナルスが5年ぶり11回目の世界一の座に就き、幕を閉じた。9月5日の時点で中地区首位のブルワーズに10.5ゲーム差を付けられながら、驚異的な追い込みを見せ、最終162試合目をものにしてワイルドカードでポストシーズンに進出。下馬評の低さをすべて覆し、そのまま頂点まで駆け上がった。

 開幕前、ラスベガスのスポーツオッズでは、フィリーズ、レッドソックス、ヤンキースが上位にランクされた。実際、レギュラーシーズンでフィリーズは102勝、ヤンキースも97勝と各リーグの最多勝利を収め、ポストシーズンに進出した。ところが、いずれも地区シリーズで敗退。「ベストのチームではなく、ホットなチームが勝つ」という、メジャーの常套句がまたしても現実となった。

「変革」に踏み切れず、現状維持で終盤戦に突入した2チームは……。

 長丁場のレギュラーシーズンと短期決戦を勝ち抜く術の違いが、顕著になる戦いだった。早々と地区優勝を決め、しかもリーグ優勝決定戦までの「開幕優先権」を得たヤンキースは、最後に4連敗を喫した。最終戦までワイルドカード争いを繰り広げたレイズが相手という理由だけでは、おそらくない。敗退後、ジラルディ監督は、神妙に言った。

「毎年、ワールドシリーズで勝つことを期待されているが、やるべきことが足りなかったと思われても仕方ない」

 ヤンキースだけでなく、ダントツの優勝候補に挙げられたフィリーズにしても、7月末のトレード期限前には、目立った動きを見せなかった。いかに現有戦力が充実していても、最後まで戦い抜くために「プラスアルファ」は不可欠。両軍とも選手の実績を尊重したあまり、「変革」に踏み切れず、現状維持のまま終盤戦に突入した。経験豊かなベテランが揃う強みを持つ一方で、新戦力による「血の入れ替え」を進めない限り、最長19試合の厳しいポストシーズンは戦えない。

 カージナルスの世界一にしても、単なる勢いだけではない。4番バークマンは言った。「うちには強いパッション(熱情)があったからね」。戦力を整え、組織全体を鼓舞し、10月に照準を絞る。豊富な資金力があっても、チャンピオンリングだけは簡単に手にできないのだ。

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