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GPの最高峰クラスから
遂に日本人が消える。
~青山博一、モトGPからWSBへ~ 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2011/11/06 08:00

GPの最高峰クラスから遂に日本人が消える。~青山博一、モトGPからWSBへ~<Number Web> photograph by Satoshi Endo

ロッシ、ロレンソの2人のスーパースターと並ぶ青山。こんな光景はもう見られないのか

 日本人でただひとり最高峰クラスに参戦している青山博一が、来季、スーパーバイク世界選手権(WSB)に戦いの場を移すことになった。

 青山は'09年に250ccクラスでチャンピオンになり、ホンダから2年間のモトGP参戦のサポートを約束されていたが、怪我などで思うような成績を残せなかった。さらに、世界経済の混迷と東日本大震災の影響で、ホンダが来季のレース予算を大幅に削減することも響いた。

 モトGPクラスは来季、800ccから1000ccに排気量が上がる。同時に新しいチームの参加を促すため、グランプリを運営統括するドルナは、市販車のエンジン(現状ではWSB用)を使用するCRTという枠組みでエントリーできるようにした。そのCRTで参戦するチームから青山を参戦させようとする動きもあったが、「モトGPマシンでなければ勝負にならない。自分の望む体制ではない」ということで、青山は優勝争いできるWSBにスイッチする決断を下した。

冬の時代は、日本レース界の“ホンダ依存過多”が招いた?

 これまでのホンダには、モトGPクラスに参戦する“次の日本人選手”が常に控えていた。他メーカーが日本人選手を送り出さなくなってからも、ホンダだけは最高峰クラスに日本人選手を送り出してきた。ここ最近でも、中野真矢、高橋裕紀、そして青山と日本人ライダーのチャレンジは続いた。しかし、青山に続くライダーが現状では見あたらず、来季は'92年の新垣敏之から延々と続いてきた最高峰クラスの日本人選手のフル参戦が、ついに途絶えることになってしまった。

 最高峰クラスから日本人選手が姿を消す影響は、20年間続いてきた歴史を見てきた者には、なかなか想像出来ないが、来季以降はその寂しさを噛みしめることになるのだろう。

 最高峰クラスの参戦人数がゼロになるだけでなく、モト2、そして来季からスタートするモト3に参戦する日本人も、過去最低の2人になることが予想される。まさに冬の時代だが、将来的にもなかなか春は訪れそうにないのが現状だ。

 こういう事態を招いた責任は、これまでホンダに多くの部分を依存してきた日本のレース界の体質にもある。“次の日本人選手”を育てるには、どうしたらいいのか。真剣に考えるチャンスなのかも知れない。

◇      ◇      ◇

※入稿した後に行われたマレーシアGPでM・シモンチェリ選手が不慮の事故で亡くなりました。謹んでご冥福をお祈りします。

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