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近づいてきた“世界”。
~ロンドン五輪で有利な種目とは~ 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byAsami Enomoto

posted2011/10/04 06:00

近づいてきた“世界”。~ロンドン五輪で有利な種目とは~<Number Web> photograph by Asami Enomoto

6月の日本選手権で初優勝し、テグ世界陸上代表となった岸本鷹幸。世界陸上では準決勝に進出。ロンドン五輪ではさらなる成長が期待される

 今年の世界陸上では、ウサイン・ボルトのフライング失格と室伏広治の金メダルが記憶に残るものとなったが、その一方で、若い力の台頭が目立った。男子400mでは18歳のキラニ・ジェームスが優勝、歴代5位の記録で三段跳びを制したクリスチャン・テイラーは21歳、そして800mで勝ったデビッド・ルディシャ、1万mで勝ったイブラハム・ジェイランは、ともに22歳だ(年齢は優勝当時)。

 対照的に、一時代を築いた大物選手――女子棒高跳びのエレーナ・イシンバエワ、女子走り高跳びのブランカ・ブラシッチ、男子1万mのケネニサ・ベケレが、頂点に立てず、主役の座を明け渡した。

世界のメダル争いの水準が、種目によってはかなり下がっている!

 ある意味、今回は新旧交代の大会だったのかも知れない。その間隙をぬって、日本の若い力の台頭も期待される。100m、200mで準決勝進出を果たした福島千里、初出場で準決勝に残った400m障害の岸本鷹幸、マラソンで7位に入った堀端宏行、50km競歩で6位入賞の森岡紘一朗と、一定の成果を挙げた選手はいたが、彼らが本番で今季自己ベストを出せていたら、と思わずにはいられない。そのように期待されるのは、今回の世界陸上で、世界のメダル争いの水準が、種目によってはかなり下がっていることが分かったからだ。中でも目立った5種目について、表にまとめてみた。

●2011年世界陸上テグ大会 メダル獲得のレベルが下がった種目
種目 '09年
ベルリン
'11年
テグ
日本記録
選手名/樹立年
男子
100m
金         9秒58
銀         9秒71
銅         9秒84
        (+0.9m)
      9秒92
    10秒08
    10秒09
(-1.4m)
10秒00(+1.9m)
伊東浩司/'98年
男子
400m
金        44秒06
銀        44秒60
銅        45秒02
    44秒60
    44秒63
    44秒90
44秒78
高野進/'91年
男子
110mH
金        13秒14
銀        13秒15
銅        13秒15
        (+0.1m)
    13秒16
    13秒27
    13秒44
(-1.1m)
13秒39(+1.5m)
谷川聡/'04年
男子
400mH
金        47秒91
銀        48秒09
銅        48秒23
    48秒26
    48秒44
    48秒80
47秒89
為末大/'01年
女子
走幅跳
金          7m10
銀          6m97
銅          6m80
        (+1.0m)
      6m82
      6m77
      6m76
(+0.1m)
6m86(+1.6m)
池田久美子/'06年
※カッコ内は追い風(+)、向かい風(-)。走り幅跳びの風は金メダルの記録に関するもの

 男子100mはボルトのフライングだけでなく、同じジャマイカのアサファ・パウエル、米国のタイソン・ゲイが欠場していたため、世界のトップ選手が一堂に会したレースではなかった。加えて、決勝は向かい風1.4mという条件だったから、いい記録が出る環境ではなかった。

 結果として、'09年ベルリン大会では銅メダルが9秒84だったのに対し、今回は10秒09。だが、決勝進出のラインを見ても'09年は10秒04だったのに対し、今回は10秒16に下がっている。今回から2次予選がなくなったため、1次予選と準決勝の2本で決勝進出が決まるようになったが、'07年の大阪大会の時、朝原宣治は1次予選10秒14、2次予選10秒16で走っている。もし今回、このタイムで走る日本人選手がいたら、決勝進出の可能性もあったわけだ。今回、男子100mで日本の出場はなかったが、昨年10秒16を出している江里口匡史ら若手の進化に期待したい。

【次ページ】 現在の110m障害の状況は、付け入る隙が十分にあり。

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