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労使紛争の解決に奮闘する
“便利屋”フィッシャー。
~NBAの開幕が遅れる可能性も~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byNBAE/Getty Images

posted2011/09/17 08:00

労使紛争の解決に奮闘する“便利屋”フィッシャー。~NBAの開幕が遅れる可能性も~<Number Web> photograph by NBAE/Getty Images

選手からの信頼が厚いフィッシャー。持ち前の堅実さをリーグ側との交渉で発揮できるか

 デレック・フィッシャーいわく、ロサンゼルス・レイカーズにおける彼の役割は“ハンディマン”(便利屋)なのだという。試合中でもコートを離れた時でも、修理が必要なところを直し、チームが勝つために必要なことを何でもやる。プレースタイルというよりも、それが彼のリーダーシップ術なのだ。

「スプリンクラーの故障でも、窓が割れても、ハンディマンなら何でも直せる。それが、僕がこのチームでやろうとしてきた役割だ」とフィッシャーは言う。

 言ってみれば、困ったときのお助けマン的な存在ということだろうか。ふだんは地味で目立たない仕事が多いが、プレーオフやNBAファイナルの大舞台で、逆転シュートを何度も決めてもいる。

 そんな“ハンディマン”、フィッシャーがこの夏、今までにない大修理に取り組んでいる。450人のNBA選手を率いる選手会長として、選手会とリーグの間にある溝を埋める仕事だ。

 30チーム中22チームが赤字運営だと主張するリーグ側は、新労使協定の話し合いにおいて一方的とも言えるほど大幅な選手サラリー削減を求め、7月1日からロックアウト(施設封鎖)に突入している。選手案とオーナー案の差は10年間のサラリー総額にして約80億ドル。10月までにこの溝が埋められないと、シーズン開幕も危うい。

「合意に達しないと全員が負けるようなものだ」とフィッシャー。

 5年前に選手会長に選ばれ、2年前に再選されて以来、今回の労使争議が常にフィッシャーの頭の片隅にあった。8月に37歳になったが、選手会長として今回の争議を解決するまでは引退できないとの心意気だった。サラリーも立場も多様な選手をまとめ、敏腕ビジネスマン揃いのオーナーたち相手に交渉することは簡単なことではないが、この難しい仕事にフィッシャー以上の適任はいない。

 9月に入り、トレーニングキャンプ開始予定まで1カ月を切った。8月31日、リーグ側と6時間にわたる話し合いをした後、フィッシャーは「合意に達しないと全員が負けるようなものだ。そのことは皆が理解している。緊急に両サイドから築き上げ続けていかなくてはいけない。今は、とにかく達成するための道を見つけることに集中している」と言った。

 かつて残り0.4秒から逆転シュートを決めたように、大舞台には強い。選手会長としてもその腕の見せどころである。

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