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「悲劇を忘れずに」
プエルタ杯に込めた思い。
~日本でも松田直樹を偲ぶ試合を~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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posted2011/08/19 06:00

「悲劇を忘れずに」 プエルタ杯に込めた思い。~日本でも松田直樹を偲ぶ試合を~<Number Web> photograph by AFLO

試合前にハルケとプエルタのユニフォームを見せるL・ガルシア(左)とパロップの両主将

 松田直樹がこの世を去った8月4日、スペインのセビージャで毎年恒例となった親善試合が行なわれた。今年で4回目となるアントニオ・プエルタ杯だ。

 かつてセビージャに所属したスペイン代表のアントニオ・プエルタは、4年前の8月、リーガ開幕戦となったヘタフェ戦の最中にピッチ上で意識を失い、帰らぬ人となった。

 同杯はファンに愛された彼へ捧げるものとしてその翌年から始まり、これまでに同じアンダルシア州のマラガ、へレス、グラナダらと対戦している。

 今年の試合が特別な注目を浴びたのは、対戦相手がエスパニョールだったからだ。エスパニョールも2年前の8月に主将のダニ・ハルケを心臓発作により失うという、同じ悲劇を経験している。

 約2万人の観客を集めた試合では、試合前に両選手へ捧げるビデオが流され、両チームは背中と胸にふたりの背番号である16番と21番をつけたユニフォームを着てピッチに登場。その番号にちなみ16分と21分には、スタジアム全体が亡きふたりへのオマージュとなる盛大な拍手を送っている。

スペインのニュース番組でも報じられた松田直樹のニュース。

「クラブとサポーターにとってふたりは忘れられない存在。彼らを思い出す日になってほしい」と語ったセビージャのデル・ニド会長。今後は海外クラブとの対戦も考えられているそうだ。

 この日、スペインでは松田の死についても大きく報道された。

 国営放送TVEでは横浜F・マリノスのユニフォームを着てプレーする松田の映像を流しながら、ゴールデンタイムのニュース番組でも報じている。プエルタやハルケの前例もあるため、スペイン人にとっても日本で起きた悲劇に対する関心は高かったのだ。

 プエルタ杯はセビージャの年間パス保持者の入場は無料。サポーターに愛されたプエルタを偲ぶ試合が毎年行なわれることにより、新たに加入した選手たちや若いファンにも、クラブの象徴だった彼の存在を伝えていくことができる。

 プエルタやハルケと同じようにファンに愛された松田を偲ぶ記念試合を、日本でも定期的に開催できないだろうか。実現できれば、彼の功績を讃え、また同じ悲劇を繰り返さないための方策を考える貴重な機会にもなるはずだ。

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