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魅惑の攻撃サッカーで
柏がJ1を面白くする。
~レイソル躍進の理由と展望~ 

text by

熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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photograph byMasahiro Ura

posted2011/07/27 06:00

魅惑の攻撃サッカーで柏がJ1を面白くする。~レイソル躍進の理由と展望~<Number Web> photograph by Masahiro Ura

 折り返し地点にあるJ1で、柏レイソルの躍進が目立つ。大震災の影響か、今季は鹿島アントラーズ、名古屋グランパス、ガンバ大阪といった強豪が出遅れた。では柏の進撃は、「鬼の居ぬ間」で終わるようなものなのか――。

 昇格チームがJ1を席巻するというのは、実は珍しいことではない。'09年にはサンフレッチェ広島が、'10年にはセレッソ大阪が、ACL圏内に食い込んだ。広島、C大阪、そして今季の柏には、攻撃的な試合運びと外国人監督という、ふたつの共通項が存在する。

 彼らは降格したことを逆手に取った。J1の下位に長くいると、目先の勝ち点を取ることで手一杯になり、冒険はできなくなる。だがJ2に降格の恐怖はなく、独走すれば様々な実験ができる。昨季の柏も前半戦は手堅い試合をしていたが、独走態勢に入った後半戦はパスをつなぎにつないで敵を振り回す、今季の雛形となるようなプレーを繰り広げていた。

柏のサッカーの要諦は「敵を引きつけて裏をつく」こと。

 外国人監督が重要なのは、チームの方向性をプレーで体現する優秀な人材を連れてくることができるからだ。広島のペトロヴィッチは攻撃力に秀でたストヤノフをリベロに据え、C大阪のクルピはキープ力に長けたマルチネスに中盤を仕切らせた。柏の場合は大勢に囲まれても動じないレアンドロ・ドミンゲスが、独特のリズムを生み出している。明らかな違いを生み出す外国人がいれば、周りも刺激されて上手くなる。

 柏のサッカーには南米の匂いが漂うが、やっていることはシンプルだ。敵を引きつけて裏をつく、その繰り返し。ボールを持った選手は敵を目前まで引きつけ、マークを外すようにして前方の味方にパスを出す。その間、周りの選手は「出し手と受け手を助けるような位置に顔を出す」(MF栗澤)。多くのパスコースを作り、敵に的を絞らせないためだ。

 最終ラインが敵を引きつければ、パスを受けたボランチが前を向けるようになり、ボランチが敵を引きつければ、レアンドロが楽になる。この10番が自由になった瞬間、柏の可能性は無限に広がる。

【次ページ】 面白く勝ってきた柏は、負けるときも面白く負ける。

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