MLB Column from USABACK NUMBER

「元史上最高額契約金投手」
マーク・プライアーの寂しい解雇。 

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李啓充

李啓充Kaechoong Lee

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photograph byGetty Images

posted2009/08/24 11:30

「元史上最高額契約金投手」 マーク・プライアーの寂しい解雇。<Number Web> photograph by Getty Images

プライアーは07年の開幕前にマイナー落ちが告げられ、オフにカブスから放出されFAとなる。サンディエゴ・パドレスと1年契約を結んだが活躍できず、今年はマイナー契約になっていた

ベイカー監督は札付きの「投手の潰し屋」だった。

 しかも、ベイカー監督の場合、プライアーだけでなく、カブス時代にケリー・ウッドも酷使で潰しているし、今年も、昨季17勝6敗・防御率3.21と大活躍した若きレッズのエース、エディンソン・ボルケス(26歳)が肘の手術を受ける羽目になったため、「投手の潰し屋」の定評が確立してしまった(ボルケスが肘の手術を受けたのは、プライアーが解雇されたのとほぼ同時期の8月3日だった)。

 いまのMLBでは、「資産価値」という観点からみたとき、FA資格取得前の若いエースほど大きな財産はない。若いエースを潰してしまった監督は、チームに大損害を与えたとみなされるだけに、ベイカーが厳しく批判されたのは言うまでもない。

日本の考え方とはかけ離れたメジャーの投手起用法。

 日本では、「メジャーは投球数にこだわりすぎる。松坂大輔だってもっと長く投げさせたらいいのに」と思っておられるファンが多いだろう。しかし、メジャーには投球過多と投手の故障とが相関するという厳然としたデータがあるだけに、ベイカーのように先発投手を長く引っ張る傾向がある監督は、「投手の潰し屋」というレッテルを貼られて、批判の的となってしまうのである。

 もっとも、今回契約金最高額の記録を破ったストラスバーグが「潰される」心配をする必要はまったくない。というのも、プライアーの潰され方があまりにも無残だっただけに、ストラスバーグの場合、「過保護」扱いを受けることはあっても、酷使される可能性は皆無だからである。

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