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新型インフルを乗り越えろ。
レンジャーズ躍進の秘密。 

text by

津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

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photograph byYukihito Taguchi

posted2009/08/23 08:00

新型インフルを乗り越えろ。レンジャーズ躍進の秘密。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 この夏、テキサス・レンジャーズが思いがけずも話題の的になった。7月下旬、選手が新型インフルエンザに感染。全米メジャースポーツ界で初めてのことに激震が走った。マスクを着用しないお国柄とはいえ、発症1週間以内の選手が普通にウロウロしていたのには苦笑するしかなかったが、クラブハウスの入り口には空港の検疫のような消毒マットが敷かれ、記者席のトイレにまで消毒液が設置されるなど物々しさが漂っていた。

ライアン社長の期待に見事応えた、34歳のエース。

 だが今季のレンジャーズは別の意味でも注目を集めている。近年になく好調を維持し、ア・リーグ西地区で堂々首位争いを演じているからだ。フラッグシップとなったのは投手のミルウッド。過去2シーズンで19勝をあげ、最優秀防御率のタイトルを獲得したこともある34歳の実力派だが、近年は精彩を欠いていた。しかし、殿堂入り投手のノーラン・ライアン球団社長からチーム改革のキーマンとして指名を受けたのだ。「エースとしての自覚を促された。オマエの背中を若手が見ているんだからってね」。昨冬からチームで採用した栄養士の指導の下、禁酒をするなどして太りやすい体質の改善に成功。投球にキレが戻り、前半戦に8勝してチームを牽引した。

 周囲に与えた影響も大きかった。永遠の課題と言われた投手陣が急激に底上げされ、昨季リーグ最低の防御率が1点以上も改善して上位に。“打高投低”の大味なカラーから、投手力を軸としたチームへと変貌を遂げたのだ。終盤に差し掛かった今、常勝エンゼルスに続いて地区2位。8月18日現在、ワイルドカード争いでもRソックスと並んで首位タイと期待は膨らむ。

打線が本来の実力を取り戻せばプレーオフ進出も。

 課題は昨季リーグトップの打率を誇った打線が鳴りを潜めていることだが、「今季のウチのチームはまだ伸びしろがある。(強打の)ハミルトンやキンスラーが本来の調子を取り戻せば、攻守のバランスが整うからね。本当のチャンスはこれからだ」とチームリーダーのヤングは胸を張る。いったん強力打線に火がつけば、他球団は手がつけられなくなるだろう。

 ワールドチャンピオンはおろか、30球団で唯一リーグ優勝決定戦へ駒を進めたことすらないレンジャーズ。インフルエンザではなく、次はプレーオフ進出で話題の中心となれるか、楽しみになってきた。

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