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韋駄天クロフォード、
盗塁数激増の理由。 

text by

津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

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photograph byYukihito Taguchi

posted2009/08/31 06:00

韋駄天クロフォード、盗塁数激増の理由。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

5月3日のレッドソックス戦で近代野球ではメジャー最多タイとなる1試合6盗塁を記録

 災い転じて福となす――今季、盗塁数でメジャートップをひた走るカール・クロフォード(レイズ)には、まさにそんな諺が当てはまる。

脚の負傷が“塁を盗む”技術を向上させた。

 デビュー8年にして盗塁王4度の実力はもとより折り紙つきだったが、それでもキャリアハイは'04年の59盗塁だった。今季はシーズン3分の1を残した8月10日現在で53盗塁。自己記録の大幅更新は間違いない。「昨年ハムストリングを痛めたことがキッカケだった。今思えば、それまでは自分の脚力に任せてただ走っていただけだったよね」とクロフォードが転機を振り返る。

 盗塁とは次のベースをいかにして陥れるかが大事であって、必ずしも俊足選手がその技術に卓越しているとは限らない。「スピードだけに頼らない盗塁の仕方を考えたんだ。自分はどこまで塁から離れられるか突き詰めた結果、もう1歩だけ大きくリードをとることができることがわかった。そして今まで以上に野手の動きと投手のモーションを洞察するようになった」。リッキー・ヘンダーソンを凌ぐともいわれるポテンシャルに加え、“塁を盗む”テクニックに磨きがかかったことで、まさに鬼に金棒になったというわけである。

伝説のリッキー・ヘンダーソンの領域に近づけるか?

 '82年に史上最多の130盗塁を記録し、キャリア通算でも1406盗塁をマークしたヘンダーソンよりも塁間スピードでは勝っているとされるクロフォード。'88年のヘンダーソン以来となるシーズン90盗塁以上も視野に入るが、本人はチームプレーを強調する。「盗塁の難しさは試合の流れを考えなければいけないところにある。失敗すれば相手に流れをもっていかれる危険性もあるんだからね。チームを勝利に導くためにどこで走るのが最も効果的か、いつもそれを考えているよ」と、ワイルドカード争い中のチームを2年連続のポストシーズンに進出させることを最優先課題に掲げている。

ナ・リーグの盗塁数トップのボーンとは幼なじみの間柄。

 実は今季ナ・リーグの盗塁数トップを誇るM・ボーン(アストロズ)の父親は少年野球の監督としてクロフォードの才能を見出した人物。ボーンとも幼馴染みで、クロフォードが彼に盗塁のアドバイスをしているというから、この2人が両リーグで同時受賞すれば、5度目のタイトルは今まで以上に感慨深いものになるに違いない。

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