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46歳で王者に返り咲いた
ホプキンスの「超規格外」。
~フォアマンの記録を大幅更新~ 

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前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2011/07/03 08:00

46歳で王者に返り咲いたホプキンスの「超規格外」。~フォアマンの記録を大幅更新~<Number Web> photograph by AFLO

2005年以来となるベルト獲得。試合後には「50歳でも戦っているよ」とのコメントを残した

 バーナード・ホプキンスの試合を初めて生で見たのは、13年前のラスベガスである。勝つには勝ったが、試合後の歪んだ顔を見て、無意識のうちに「終わったボクサー」の烙印を押していた当方の不明を恥じなくてはなるまい。7年前にデラホーヤをボディブローの一撃で悶絶させたときでさえ「ゴールデンボーイも相手がナチュラルなミドル級では力負けするのも当然か」と、依然ホプキンスを正しく評価していなかったことも。

 去る5月21日、カナダのモントリオールで行なわれたWBC世界ライトヘビー級タイトルマッチで、ホプキンスは28歳の王者ジャン・パスカルに再度挑み、僅差ながら文句のない判定勝ちで新王座に就いた。46歳4カ月の世界奪取は、あのジョージ・フォアマンが'94年に樹立し、まず破られないと見られていた「45歳9カ月」の最高齢世界タイトル奪取記録を大幅に更新するものだった。

凋落するロイ・ジョーンズJr.との明暗が際立つ。

「B-HOP」ことホプキンスの軌跡は少しフォアマンに似たところがある。モハメド・アリという強烈な太陽のおかげで、フォアマンは陰の存在に追いやられ、アリ引退後にようやく独自の輝きを放った。同様にロイ・ジョーンズJr.というスーパースターが長らく脚光を独占したため、ホプキンスは本来得られるはずの名声を手にできなかった。しかし近年、ジョーンズJr.の凋落とともに両者の明暗は際立ち、昨年、実に17年ぶりに実現した宿敵との再戦では判定勝ちでリベンジを遂げた。ホプキンスが以前とほぼ変わらぬ力を維持しているのは驚異的である。

 近年、30代半ばを過ぎても衰えを知らない世界王者が珍しくなくなっている。昔ほど頻繁に試合をしないことも王座を長持ちさせる一因であろう。ホプキンスも30代から年に2度、時には1度のペースで戦ってきた。

 それだけではない。米国の専門誌『リング』でボクシング教室を連載しているように、イメージとは裏腹に実は頭脳派で、まともに相手のパンチを浴びない。負けることはあっても惨敗はしない。試合運びは「リングの職人」の堅実さがある。

 それにしても、大橋秀行・日本プロボクシング協会会長と同じ'65年生まれ、“親父ファイト”の年代で現役の世界王者なのだから、やはりB-HOPの元気さは超規格外である。

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