MLB Column from WestBACK NUMBER

アメリカでチャンスを探す日本人たち。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byYasushi Kikuchi

posted2009/02/05 00:00

アメリカでチャンスを探す日本人たち。<Number Web> photograph by Yasushi Kikuchi

 数年前のことになるが、このコラムでMLBが直接運営するアカデミーを紹介したのをご記憶だろうか。改めて簡単に説明すると、リトルリーグを終えた後の青少年における野球競技人口の激減を阻止するため、MLB機構が初の試みとして、ブルーカラー層が集中するLA郊外のコンプトン市内の大学内に、無料で野球育成プログラムを提供する施設『アーバン・ユース・アカデミー』を開設したのだ。今ではここでの実績が高く評価され、すでにヒューストンとマイアミに増設することが発表されている。

 このアカデミーは、プログラムに参加する青少年に開放されているばかりでなく、メジャー各球団のトライアウトに使用されたり、地元出身のマイナー選手たちが自主トレ施設として利用するなど、幅広い用途で活用されている。そして最近では、日本のプロ野球選手にとってもすっかり人気施設になりつつあるのだ。

 昨年は斎藤隆投手、黒田博樹投手が合同自主トレを行い、福留孝介選手もキャンプイン前にこの施設で自主トレを行っている。日本人メジャー選手だけではない。アカデミーが開業して以来、木田優夫投手は毎年1月に自主トレを行っているし、昨年は金本知憲選手がヒザのリハビリをここで行い、今年は藤川球児投手が自主トレに利用するなど、MLBに直接関係ない日本人選手も多数訪れている。

 さらに最近では、また新たな種類の日本人選手たちが、アカデミーに集結し始めている。日本プロ野球から解雇された後、アメリカで現役続行を目指そうとしている“再就職組”の選手たちだ。現在、三澤興一投手と竹岡和宏投手の2人が夢を実現させるべく、自主トレを続けている。

 主に巨人と近鉄で活躍した三澤投手は、2年前に中日から自由契約となった直後からアメリカでの再起を目指している。昨年は入団テストを兼ねホワイトソックスのマイナー・キャンプに参加したもののキャンプ途中で解雇された。だがその後もアメリカに留まり、独立リーグのノーザンリーグに所属、抑え投手としてチームをリーグ優勝決定シリーズに導いた。この冬も、ドミニカとベネズエラのウィンターリーグに回り、投球を続けてきた。三澤投手の場合、日本での最後の3年間は故障もあり、1軍登板はわずか2試合のみだったこともあり、1年通してケガなく投げ続けられたことが大きな自信につながったようだ。もちろん投球自体も昨年以上に良くなってきており、今年こそメジャー球団との契約を狙っている。

 一方の竹岡投手は、2000年にアマチュア選手からブレーブスと契約。2A、3Aでまずまずの成績を残しながらシーズン3年目の途中で解雇された。帰国したその年に、ダイエー(現ソフトバンク)からドラフト指名され日本球界入り。そして5年目のシーズン終了後に戦力外通告を受けていた。この5年間で1軍登板は77試合だったが、通算防御率3.03が示すように、十分に1軍でも通用する投球をしてきた。それだけに竹岡投手の中で、解雇は不完全燃焼の部分がかなり強かったと思う。だからこそ、迷うことなくアメリカ再挑戦を決めたのだと思う。

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