Number on NumberBACK NUMBER

武田勝の美しさ。
~最も“自滅”しない投手~ 

text by

小川勝

小川勝Masaru Ogawa

PROFILE

photograph byTamon Matsuzono

posted2011/06/29 06:00

武田勝の美しさ。~最も“自滅”しない投手~<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

ダルビッシュの陰に隠れてはいるが、ダルをしのぐチームトップの防御率で好投を続けている武田勝。6月27日現在、2ゲーム差に迫ったソフトバンクからの首位奪還に向け、武田にかかる期待は大きい

「勝利投手」ほど、野球界で過大評価されている記録は他にない、と言っていい。年間で何勝したか、通算で何勝したか。しばしば、それが投手評価の最重要事として扱われる。

 投手の勝利数は、ファンにとっては興味深い記録だが、投手の価値――チームへの貢献度を計るバロメーターとしては、あくまで目安に過ぎない。勝利数を第一に考えると、9回1失点の負け投手より、5回3失点の勝ち投手の方が優れた投球ということになってしまう。さらには「勝利投手」という記録自体が、守備陣の貢献に言及していない。実際には、「勝利投手」は該当者なしで、むしろ「勝利捕手」を記録した方がいいのでは、という試合もある。だから、勝利数こそ投手の勲章といった考え方は、控えたいと思う。

 こうした前提に立った上で、あえて考えてみたい投手がいる。日本ハムの武田勝である。

 4月27日のソフトバンク戦から5月23日の横浜戦まで、武田が先発した5試合はすべて味方打線が完封されて5連敗を喫した。そのうち4試合で、武田は8回1失点、7回1失点、7回2失点、7回2失点という好投だった(残り1試合も5回5失点だが自責3だった)。5月23日時点で2勝5敗。その後、6月25日に5勝5敗まで盛り返したが、防御率1.34で5勝5敗というのは、常識的にはあり得ない数字だ。

もう少しツキがあれば、最多勝争いも十分に可能。

 日本ハムは打てないチームではない。1試合平均3.6得点でパ・リーグ第3位である。ところが、武田が先発した試合では平均1.5得点しか取っていない。横浜・ハミルトン(防御率6.68)に抑え込まれたりしている。しかし、武田以外の投手が先発した試合では平均4.1得点も取っているのである。

 ここまでくると、投手の価値は勝利数とは比例しないなどと言ってみても、さすがに「何とか武田を勝利投手に」という気持ちになる。この武田、実は昨年から、勝ち星という点ではどうにもツキのない登板が多かった。昨年3月のソフトバンク戦で6回2/3を1安打無四球と快投しながら、スコア1-0から救援が打たれて逆転負け。同じく3月のロッテ戦でも6回を投げ、スコア5-2で降板したあと救援が打たれて逆転負け。こういう試合があっても昨年は14勝している。もう少しツキがあれば、最多勝争いも十分に可能な投手なのである。

【次ページ】 過去3年間でパ・リーグのエースたちと比較すると……。

<< BACK 1 2 3 NEXT >>
1/3ページ
関連キーワード
武田勝
北海道日本ハムファイターズ

ページトップ