青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER

ついに石川遼が苦言を呈した
ギャラリーの蛮行。
~同組選手のスコアが伸びない謎~ 

text by

雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byPHOTO KISHIMOTO

posted2009/10/31 10:00

ついに石川遼が苦言を呈したギャラリーの蛮行。~同組選手のスコアが伸びない謎~<Number Web> photograph by PHOTO KISHIMOTO

この直後、ゴルフ協会が観戦マナー啓蒙のために石川選手らも登場する特別ビデオを作製した。以降、大会会場のスクリーンにこのビデオが流され、また手荷物チェックで携帯電話やカメラ所持者に注意を促すこととなった

「たくさんのギャラリーが来てくれることでどれだけ気が引き締まるか。これだけ毎週ギャラリーがいてどうなの? と他の選手に聞かれたりするけど、僕は何百、何千のギャラリーに見てもらえることが調子を支えてると思う。

 誰も見ていなかったら、スコアが悪い時に集中力がなくなるかもしれないという不安もある。だからギャラリーには感謝したい」

 石川遼がそう話していたのは約1カ月半前、フジサンケイ・クラシックの優勝会見でのことだった。

日本オープンのプレーオフはシャッター音の影響も。

「カシャッ」という音とともにその幸せな関係に小さなヒビが入った。

 10月18日まで行われていた日本オープンで残念なアクシデントが起こった。最終日を単独首位で迎えた石川が、優勝に向けて順調にホールを消化していた6番パー5だった。

 グリーン手前40ヤードのバンカーからの4打目は、「紙一重の技術が必要だった」という難しい状況。ところが、集中力を高めてバックスイングに入ったところで携帯のシャッター音が鳴った。

 スイングを止めて音のした方向をにらみつけた石川は、うつむいたままバンカー内に立ちすくみ、手で太ももを叩いて悔しがった。

 仕切り直しの一打はミスショットとなって、このホールはダブルボギー。優勝争いは一気に混戦模様に変わり、結果的に石川は小田龍一、今野康晴との素晴らしいプレーオフの末に優勝を逃した。

モラル低下が目立つギャラリーに、ついに石川が声を上げた。

 ホールアウト後の会見でシャッター音について聞かれた石川は、「本当は優勝して皆さんに言いたかったんだけど」と前置きした上で話し始めた。明らかにギャラリーに非があるとはいえ、それを自分で口にすれば負けた言い訳に聞こえてしまうことをよく分かっていたのだろう。

「もし初めてゴルフ観戦に来た方で、ルールが耳に入っていなかったならしょうがない。でもルールを分かった上での行動だったら選手として悲しい。マナーを守って見ているギャラリーの皆さんがかわいそうだし、僕はマナーを守ってる方にプレーを見てもらいたい」

 ギャラリーのマナー問題が取りざたされたのは、この大会が初めてではない。9月のパナソニック・オープンなどでは「金を払ってるのになんで写真を撮っちゃダメなんだ!」と逆ギレする人がいるほどマナーの悪さが目立っていたし、そんな時でも石川は「ルールを知らないのかもしれないし、一概に悪いと決めつけるのはよくない」とギャラリーを擁護していた。しかし、日本タイトルをかけた最高の場面での妨害行為に、今回ばかりは言わずにいられなかった。

 プロゴルファーはしんと静まりかえった中で集中力を研ぎ澄まし、刻々と変わる目の前の状況に持ちうる最高のショットで挑む。ギャラリーはそのさまを静かに見守り、決断と技術に拍手と歓声を送る。野球やサッカーとは応援の仕方が大きく異なるのだ。

<次ページに続く>

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