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選挙前の日曜日、マーサ・コークリー候補(左)の応援に駆けつけたオバマ大統領。手を振るが、心なしか表情が固い

オバマを窮地に追い込んだ、
レッドソックス・ファンの「怒り」。

李啓充 = 文 ⇒この著者の記事一覧

text by Kaechoong Lee

photograph by Getty Images

オバマを窮地に追い込んだ、レッドソックス・ファンの「怒り」。

 1月19日、マサチューセッツ州で行われた上院補選で民主党が「まさか」の敗北。上院での安定多数を失うことになったバラク・オバマ政権は絶体絶命の窮地に追い込まれることとなった。

「なんでMLBのコラムで米国の選挙の話をするのだ?」と読者は不審に思っておられるだろうが、野球に大いに関係する話なので我慢しておつきあいをいただきたい。

 そもそも、今回の選挙は1962年以来半世紀近く議席を占めてきたエドワード・ケネディ議員が昨年死去したことに伴う特別選挙。マサチューセッツ州はもともと民主党の強固な地盤である上、名議員の「弔い選挙」とあって、民主党が負ける事態など誰も予想していなかった。実際、投票日2週間前の世論調査では15%もリードしていたのである。

 しかし、民主党候補のマーサ・コークリー州司法長官(女性)は、「絶対に勝てる」と慢心しきって選挙運動をさぼった上、レッドソックス・ファンの神経を逆なでする発言を繰り返して墓穴を掘ってしまった。

オバマ大統領をもってしても鎮められなかったファンの怒り。

 最初の失言は、「なぜ熱心に選挙運動をしないのか?」と聞いた記者に、「この寒い中フェンウェイ・パークの前に立って、ファンと握手しろとでもいうの?」と答えたこと。

 相手候補、共和党のスコット・ブラウン(州議会議員)は、寒い中フェンウェイ・パークの前でファンと握手するビデオをホームページで公開していただけに、コークリーの「傲慢さ」はファンの反感を招いた。

 さらに致命傷となったのは、投票日3日前のラジオ・インタビューでの失言だった。

 選挙が思わぬ接戦となり、急遽オバマ大統領が応援演説に駆けつけることになった件について聞かれ「相手候補もルーディー・ジュリアーニ元ニューヨーク市長を応援に呼びました。でも、有権者にはジュリアーニはヤンキース・ファンだということを忘れないでほしいですね」と答え、レッドソックス・ファンの歓心を買おうと試みたまではよかった。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  地元のヒーローを「ヤンキース・ファン」と呼ぶとは……。

(更新日:2010年2月3日)

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筆者プロフィール

李啓充

'80年京都大学医学部を卒業し、'90年に渡米。2002年、ハーバード大学医学部助教授を辞して、文筆業に専念。「レッドソックス・ネーションへようこそ」(ぴあ)、「怪物と赤い靴下」(扶桑社)が好評発売中


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