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「巨大感動装置」に彩られた、
箱根駅伝の“経済戦争”を読み解く。

生島淳 = 文 ⇒この著者の記事一覧

text by Jun Ikushima

photograph by Kenta Yokoyama/PHOTO KISHIMOTO

「巨大感動装置」に彩られた、箱根駅伝の“経済戦争”を読み解く。

関連アスリート・チーム:

チーム・選手名
柏原竜二
ギタウ・ダニエル

 いよいよ箱根駅伝直前となった。

 各校に探りを入れると、いまだに新型インフルエンザ対策に一番気を配っていることが分かる。

 早大の渡辺康幸駅伝監督は、

「選ばれた選手には緊張感があるので、風邪はひかない。怖いのは、他の部員が外でもらってきて、集団生活のなかで蔓延してしまうこと」

 と話していた。

 事実、早大では短距離ブロックの選手たちをわざわざ千葉県で合宿させることで駅伝選手たちから離し、とにかく外部から罹患しないよう念には念を入れた準備を進めている。

 今回の箱根駅伝は、波乱の大会になる予感がする。

 新型インフルエンザの影響で、調整に遅れの出ている学校が意外と多いからだ。

 考えたくはないが……「ブレーキ」になる選手がどの大学から出ても不思議はない。

 いろいろなメディアから「箱根の予想は?」と毎年聞かれるが、近年の箱根は想定外のことがあまりにもたくさん起こるので、予想しても無駄だという気さえするくらいだ。

優勝候補は東洋、日大だが、「山の5区」の結果で流れは変わる。

 加えて、山登りの5区だけで1時間20分ほどかかるので、スピード重視で記録も更新されることが多い最近の傾向だと、どうしてもこの区間の比重が大きくなってくる。前回大会の東洋大学・柏原竜二のようなとんでもない走りを見せる選手がひとり出現すれば、一気に流れを変えることさえ可能だ。

「5区の持つ意味合いが大きくなりすぎた。全体の力で争うためには、5区を短くした方がいいのでは?」という意見を持つ監督もいる。

 そうした条件のなかで有力校を見ていくと、柏原という頼れる「クライマー」がいる東洋大、箱根の前哨戦である出雲と全日本の両駅伝を連覇し、箱根で今季3冠を目指す日大が優勝候補に挙げられる。

 日大にはダニエルという「大砲」がいるから、一度はトップに立つ公算が強い。チームメイトの日本人ランナーがどんな走りをするかで、日大の順位が決まると言っていい。

 他校で気になるのは日体大だ。跳躍ブロックの学生が不祥事を起こしたために、箱根のシード権を剥奪されてしまうという不運に見舞われたが、登録選手の1万メートルの持ちタイムだけならトップに位置する。日体大は台風の目になりえる。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  毎年課題としている5区さえ乗りきれば、早大の優勝も!

(更新日:2009年12月31日)

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筆者プロフィール

生島淳

生島淳

1967年気仙沼生まれ。早大卒。NBAやMLBなど海外ものから、国内のラグビー、駅伝、野球など、全ジャンルでスポーツを追うジャーナリスト。小林信彦とD・ハルバースタムを愛する米国大統領マニアにして、カーリングが趣味(最近は歌舞伎に夢中)。

著書に『慶応ラグビー「百年の歓喜」』(文藝春秋)、『大国アメリカはスポーツで動く』(新潮社)、『監督と大学駅伝』(日刊スポーツ出版社)など。『BSベストスポーツ』(NHK・BS1毎週日曜21:10~)、『生島淳のアクティブスタイル』(TBSラジオ毎週日曜正午~)にも出演中。


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