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「もっと子供に陸上を」。
アシックスの新たな試み。
~高橋尚子の新プロジェクト~ 

text by

塚本佳奈

塚本佳奈Kana Tsukamoto

PROFILE

photograph byTakashi Shimizu

posted2009/11/23 08:00

「もっと子供に陸上を」。アシックスの新たな試み。~高橋尚子の新プロジェクト~<Number Web> photograph by Takashi Shimizu

「そう、今のフォーム、しっかりと刻み込んで!」――。初秋のトラックに響き渡るのは、シドニー五輪女子マラソン金メダリスト・高橋尚子さんの声。これは、10月17~18日に催された「少年少女の陸上の合宿」の一幕。公募で集められた小4~小6の男女児童112名が1泊2日の日程で参加したのだ。初日はミュージアムの見学と講義。2日目は明石陸上競技場で実践授業が行なわれた。

金メダリストならではの実践的な指導術。

 高橋さんのクラスはもちろん長距離。前半はスムーズな体重移動を学ぶためトラックのライン上を走らせたり、ランニングにおける腕の振りの重要性を伝えるために頭の後ろに手を組んだ状態で走らせるなど、楽しみながら基本を伝える。

 後半にはオリンピックなどでの体験談を交えながらゴール直前のスパートのかけ方を伝授するなど、レクチャーは実践的な領域にまでおよんだ。授業を終えた高橋さんも大満足の様子でこう語った。

「楽しく走ることも大事ですけど、自信を持つことも大切。最後にスパートして勝つとそれだけ次につながる。それにしてもみんな本当に吸収が早いです」

競技人口拡大への第一歩。2016年に花は咲く!?

 今回特徴的だったのは、ひとつの競技だけではなく、児童たちを6班に分け、幅跳び、競歩、やり投げなどの他の競技の指導もそれぞれ専門の選手のもとで行なわれたことだ。その意図を、アシックスランニングチームマネージャーの米田剛文氏はこう説明する。

「足の速い人のためのもの、というイメージがありますが、陸上競技は全部で三十数種目あるんです。そういう子が足が速くないというだけで陸上をやめてしまうのは非常にもったいないと思ったんです。複数の競技を一度に体験してもらって、自分にはこれが向いているかもしれないという気づきがあればいいですね」

 イベント自体は大成功。児童だけでなく、親にも好評だったようだ。

「定期的に子供にマラソン大会を走らせているので、プラスになればと思って参加しました。親が言っても聞かないのに、やはり高橋さんが説明すると目の色が全然違います」(小4男児の親)

 今後の開催は未定だが「今回の反応をヒアリングして、また続けていきたいと思ってます」と米田氏。この試みが花咲くのは、早ければリオデジャネイロ五輪あたりだろうか。

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