SCORE CARDBACK NUMBER

皐月賞馬か、伏兵か?
混戦のダービーを占う。
~急成長した2頭に注目!~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

photograph byKiichi Yamamoto

posted2011/05/25 06:00

皐月賞馬か、伏兵か?混戦のダービーを占う。~急成長した2頭に注目!~<Number Web> photograph by Kiichi Yamamoto

 引き離して勝つ馬が極端に少ないのが、今年の牡馬クラシック戦線の大きな特徴だ。2歳戦まで遡っても、重賞で2着馬に最大の着差をつけたのは東京スポーツ杯2歳S(東京芝1800m、GIII)のサダムパテック(栗東・西園正都厩舎、父フジキセキ)で、それでも3馬身半だった。3歳戦に入ってからは、上位がダンゴになってゴールになだれ込む傾向はますます濃くなり、入着馬のすべてがコンマ5秒圏内(概ね3馬身差)にひしめく重賞が続出中なのだ。

 たとえば弥生賞(中山芝2000m、GII)にも優勝したサダムパテック。接戦をモノにした事実はもちろん重いのだが、2着のプレイにつけた着差は僅かに半馬身。それどころか、6着までがコンマ1秒差という大接戦に持ち込まれてしまっている。牝馬には早々にレーヴディソール、桜花賞を迎えたときにはマルセリーナという傑出馬が出現したというのに、牡馬路線にはいつまで待っても揺るぎない主役が登場してこなかった。低レベルかどうかはにわかには断定できないが、チャンスがある馬がいつもの年よりもたくさんいることだけは事実だろう。

皐月賞馬オルフェーヴル、青葉賞を勝ったウインバリアシオンは?

 クライマックスは、すぐそこ。もちろん日本ダービー(5月29日、東京芝2400m、GI)だ。ここへ来て、1頭だけ抜け出した感があるのが皐月賞馬オルフェーヴル(栗東・池江泰寿厩舎、父ステイゴールド)。それまでは接戦に加わるものの勝ちきれないレースを続けてきていたのに、スプリングSを差し切ったことを契機として、23年ぶりに東京で開催された皐月賞(東京芝2000m、GI)も早め先頭の積極策で押し切った。そして、そこでつけた着差が3馬身。一番大きな舞台で、3歳重賞最大の着差を記録できたのだから、この馬の成長力の凄さがわかる。2着サダムパテックの影がすっかり薄くなってしまったほどだ。

 青葉賞(東京芝2400m、GII)のウインバリアシオン(栗東・松永昌博厩舎、父ハーツクライ)の勝利をどう評価するかは意見の分かれるところだろう。超スローペースをほぼ最後方から差し切った内容を取るか、あまりにも平凡な勝ち時計で見切るか。私は買う側。オルフェーヴル同様、直前に急上昇カーブを描けた馬が空前の混戦模様のなかで強みを発揮する年なのだと読んでいる。

■関連コラム► 武豊も胸が一杯になった、数多くの人々の善意。~騎手会による被災地支援の成果~
► 裁決委員の制裁には、明確な基準を設けるべき。~競馬界で相次ぐ不思議な“事件”~

関連キーワード
サダムパテック
オルフェーヴル
ウインバリアシオン
日本ダービー

ページトップ