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武豊 「今のままの顔でまた表紙を飾りたい」 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

photograph byAsami Enomoto

posted2009/08/28 19:20

 1987年にデビューしてから早22年。トップジョッキーとして前人未到の活躍をし続ける武豊騎手は、Numberの競馬特集においては無くてはならない存在です。
また武騎手がNumberデビューを果たした頃から始まった一大競馬ブームは、それまでのスポーツ界の絵図を大きく塗り替えるような大きなムーブメントでした。
Number Webリニューアルに際し、これまでの武豊、そしてこれからの武豊とNumberを縦横に語っていただきました。

 今年、武豊騎手は不惑を迎えた。17歳11か月でプロデビューを果たし、すぐさまその才覚を現して以来、20年以上の長きに渡ってトップの座に君臨している。これはまさに驚嘆に値する。

写真

武豊は、1988年から翌年にかけて史上最速・最年少でJRA通算100、200、300勝をたちどころに達成。デビュー22年目となる今年はなんと3200勝の最速・最年少記録に至る

 Numberは1989年、当時まだ20歳だった彼を「しなやかな天才」として特集し、表紙を飾るトップアスリートとして取り上げた(230号)。その表情にはまだあどけなさが残っていたが、こんな意識の高い言葉で我々を驚かせたものだ。

「競馬をスポーツとして扱ってもらえるのは本当に光栄なことです。Numberデビューはプロスポーツ選手としてのひとつのステータスだと思っていました」

 懐かしいですね、この(230号の)表紙。生まれて初めて雑誌の表紙になったので、そういう意味でも強く印象に残っています。撮影は京都のブライトンホテルだったんですが、ボク専用のスタジオが設営されていて、カメラマンの方のほかに助手の方も大勢いましたね。衣装換えをしたり、ポーズの注文がついたりで、撮影だけで何時間か、かかったんです。初めての体験で面食らいましたが、その後もあれほどの時間と手間をかけた撮影はないですね。いま考えると、それだけ力を入れてくれていたんだと思います。

「この頃の顔はあまりにも若くて頼りない感じ」

 でも、この頃の顔は見たくない。あまりにも若くて、なにか頼りない感じじゃないですか。競馬のビデオも、若い頃の騎乗は見たくないんです。というか、正直なところ、下手で見ていられない。体も華奢過ぎて筋力が足りないし、いまのボクから見たらダメ出しするところだらけです。

 顔つきがしっかりしてきたのは、デビューから5年ぐらい経ってからでしょうか。そのあとは、自分から見てもあまり顔が変わっていないんです。騎手として成熟してきたのが、その頃からなのかもしれません。

 この号のインタビューで、僕は「うまくなるのは28歳のときあたり。1万回騎乗すれば、いまわからないこともだいぶわかっているような気がする」と言っているんですが、この予測は我ながら鋭いですね。実際、そんな感じで上達していったと思いますから。

 40歳のいまも第一線にいることを、武豊は誇りに思っている。将棋の羽生善治、野球の桑田真澄、清原和博、サッカーの三浦知良の名前を「同世代のすごい人たち」として挙げて敬意を表する一方、「ボクは、いまが一番体の状態がいい。20代の頃の体なんかうらやましくもないです」と、いまだに発展中であることを明言した。

<次ページへ続く>

► 【次ページ】 Number読者だった武少年が10回も表紙を飾るまでに成長。

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