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セレクトセール2009、
注目すべきはあの馬主。
~ドバイ・モハメド殿下の胸の内~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

photograph byKYODO

posted2009/08/13 06:00

最高値1億6500万は、ディープインパクトの母・ウインドインハーヘアの仔についた

最高値1億6500万は、ディープインパクトの母・ウインドインハーヘアの仔についた

 最大規模の競走馬のセリ市場、セレクトセール2009(社団法人日本競走馬協会主催)が、7月13日から15日までの3日間、北海道苫小牧市のノーザンホースパーク特設会場で開催された。

 初日の1歳市場は、上場された156頭のうち122頭の売買が成立して、78.2%という優秀な売却率が記録された。ミリオンホースが3頭出て、平均価格でも2323万余円。不景気風を吹き飛ばすような出だしに、関係者の表情も一様に明るかった。しかし、例年なら1歳を遥かに上回る活況を示すはずの当歳市場が逆に低迷してしまう。2日間で320頭が上場されて売却は207頭。過去最低だった、'00年の64.6%にほぼ並ぶ64.7%という売却率になってしまったのだ。

当歳馬市場ではネオユニヴァース産駒が高評価。

 そんな逆風の中でも、アグネスタキオン産駒はよく売れた。43頭という最多の上場を集めて、37頭が売却成立。最高価格は5600万円と地味でも、平均は2563万余円と手堅さを示した。このセリの直前に急死してしまったことに対する希少価値は、最後の産駒が上場される来年こそ価格に織り込まれるはずで、今年はそんなことよりも、純粋に産駒の安定した質の高さが評価されたと見ている。

 ディープインパクト産駒は、36頭の上場で26頭の売却。こちらは1億5500万円(母エヴリウィスパーの当歳牡馬)の高評価を集める馬から1500万円の安価な馬もいて、バイヤーの評価も割れた。タキオンの後継の座を確立するためには、安定感の上積みがほしいところだ。

 強かったのはネオユニヴァースで、20頭の上場中、16頭が売れて、平均でも2931万余円という数字を残した。初年度産駒が皐月賞とダービーを勝った実績が如実に表れた結果だろう。

ドバイの大富豪、モハメド殿下の日本戦略は?

 最も注目すべきは、アラブの大富豪の思惑に従って日本でも生産活動の幅を広げているダーレー・ジャパンが、生産馬を1頭たりとも売ろうとはせず、それどころか計7頭もの意欲的な購入という手に出たことだ。外国人馬主の参入本格化を見据えて、JRAで走らせる馬を集めているのか。あるいは、日本で育てた馬を自国や欧米に持って行って走らせるつもりなのか。ドバイのモハメド殿下は、これまで一度も日本における競馬戦略を語っていないだけに、それが様々な憶測を呼んでいる。

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