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10年後のW杯を見据えて
取り組むべき若手の強化。 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2009/07/28 06:01

10年後のW杯を見据えて取り組むべき若手の強化。<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

7人制代表の村田亙監督は布巻の招集に関し「早く上のレベルを経験させたかった」と語る

 楕円球の祭典は、本当に来るのか?

 6月30日、ラグビーW杯を運営するRWCLは2015年大会をイングランド、'19年大会を日本で開催する案をIRB各理事へ報告した。ラグビーのグローバル化という日本の招致テーマが、五輪種目復帰を目指すIRB首脳の思惑と一致して推薦を勝ち取ったわけだ。

 ただし、正式決定は7月28日、ダブリンで開かれるIRB理事会で賛成多数を得てから。推薦から漏れた南アフリカなどの巻き返しも予想され油断は禁物だ。

 それでも「W杯」と聞くと、どうにも心が浮き立ってしまう。これがW杯の魅力と魔力だ。

16カ国中15位に終わったU20代表で大丈夫?

 W杯のホスト国に求められるのは理念や大会運営能力だけではない。過去のラグビーW杯で、開催国が1次リーグで敗退した例は皆無。大会成功には代表の強さも不可欠な要素なのだが、10年後に主力となるはずのU20代表は先のJWCで16カ国中15位に終わった。日本の若手は世界に通用しないのか?

 答えは「否」だ。一例を挙げれば、5月に福岡で行なわれたサニックス・ワールドユースでは東福岡がトンガ、イングランド、ニュージーランドの強豪を連破して決勝進出。フランスのダックス・ランデに38対30で敗れ初優勝は逃したが、日本の課題だった接点でも互角に戦った。特に2年生CTBの布巻峻介は、4強入りした昨季の花園、初優勝した今春の全国選抜に続き、世界を相手にタックルを弾き飛ばす異次元の突破力を披露。村田亙や月田伸一、豊田将万、有田隆平ら幾多の逸材を育てた谷崎重幸監督が「モノが違う」と呆れ返るほどの傑物だ。10年後は代表の中核を担うべき27歳になる。

早熟は大成しない──布巻はジンクスを打ち破る。

 実は、日本ラグビー界には早熟の選手は大成しにくいというジンクスがあった。毎年結成される高校日本代表に、2年生ながら飛び級で選ばれた逸材は、半数以上がフル代表へ出世できずに消えている。同世代では突出した実力者でも、伸び盛りの時間を高校という閉ざされた世界で費やし、成長の機会を逸してきた結果だ。

 この夏、布巻は7人制日本代表スコッドに練習生として名を連ねた。練習であっても、若い才能が年齢の枠を越えて揉まれる経験は、財産として次代のジャパンに還元されるはず。10年先を見据えた若年層強化への、貴重な第一歩である。

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