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世界クロカンに見た、エチオピア勢の底力。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

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posted2006/04/20 00:00

 今やマラソンでは世界のトップに位置し、トラックでも健闘している日本の長距離陣だが、クロスカントリーでは世界から大きく遅れている。

 起伏の激しい草原を走るクロスカントリーは筋力強化にもってこいで、バランス感覚を養う効果も高い。世界の長距離界ではこれから更にスピード化が進むのは確実。アフリカ勢が普段から練習に取り入れているクロスカントリーは、今後よりその重要性を増すだろう。その意味でも4月1、2日に福岡で行われた世界クロスカントリー選手権に注目したが、残念ながら結果は芳しくなかった。

 福士加代子(ワコール)がメインの女子ロング(8km)で25分51秒の6位と健闘したものの、男子ロング(12km)は徳本一善(日清食品)の35位が最高という惨敗。昨年の日本選手権女子1500mを制したホープ、小林祐梨子(須磨学園高)も女子ショート(4km)で30位に終わった。

 不振の日本勢とは対照的に、圧倒的な強さを発揮したのはエチオピア勢だった。男子ではケネニサ・ベケレが5年連続でロングとショートの2冠を達成。女子もロングはティルネッシュ・ディババ、ショートもゲレテ・ブリカ・バティが制し、長距離王国の底力を強烈に見せつけた。

 長距離界におけるエチオピアの強さの秘密はクロスカントリーにあるとは、以前から指摘されてきた。アフリカ大陸の内陸部に位置するエチオピアは、ラス・ダッシェン山の4620mを最高に、標高2000m以上の地域が点在する。つまり、選手たちは生まれながらに高地トレーニングと同じ効果を身につけているのだ。また、練習コースに使われる首都アディスアベバ近郊のコースも舗装された道ではなく、標高4000m近くまで延々山道が続いているだけ。そこを一気に駆け上がる練習は、高地トレとクロスカントリーをミックスしたような効果があり、文字通り彼らの強さの根源となる。

 エチオピア勢の驚異的なスピードは、まだマラソンでは十分に生かし切れていない。だがいずれは次々と進出してくるだろう。その中で日本がレベルを保ち続けるためには、クロスカントリーの練習が必須となるに違いない。今回の結果をマラソンやトラックにどうつなげていくかが、今後の重要な課題になりそうだ。

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