SCORE CARDBACK NUMBER

末續慎吾と為末大、異種目挑戦が持つ意味。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

posted2006/05/08 00:00

 夏の世界選手権後、専門外の400mに挑戦することを表明していた陸上男子短距離の末續慎吾(ミズノ)が、4月15日の東海大・日大対校戦(東京・町田市)で本当に400mを走った。スタートからぐんぐん加速し、200mは21秒前半、300mも32秒後半のタイムで通過した。さすがに最後の100mでスタミナ切れを起こし、'02年8月に出した45秒99は更新できなかったものの、見事に46秒86の好タイムで走りきった。

 末續はこれまで、年によって100mに重点を置いたり、200mに集中したりしてきた。それが今回、方針を転換して400mに挑戦したのにはいくつか理由がある。「100mは105m、200mは205mと考えている」という末續にとって、より長い400mを走ることは持久力の強化につながる。最も得意な200mはコーナーを走る技術が重要なので、その面でも効果は大きい。「短距離選手としてのキャパシティーを広げたかった」というのも理由の一つだ。もちろん、一度や二度違う距離に取り組んだからといって、すぐに結果が出るものでもない。だが、今年は12月に4年に1度のアジア大会(ドーハ)があるため、例年よりも3カ月ほどシーズンが長い。体力的に追い込みすぎると来年の世界選手権(大阪)に影響しかねないのだ。そのためにも遅めの調整の方がいいのは確か。長いシーズンを乗り切るには気分転換も必要で、400mに取り組むことで新たな境地が開ける可能性もある。「今年のテーマはこだわらないこと。いいことは何でもやる」という末續の今季は、今までとひと味違ったものになりそうだ。

 末續同様、昨夏「来季はハードル封印」を掲げた400m障害の為末大(APF)も、5月6日の国際グランプリ大阪大会で400mに挑戦する。世界選手権で外国勢との走力の差を痛感させられた為末は、ラスト100mのスピードアップを課題としており、今季は徹底的にスピード強化に取り組む予定だ。すでにハードルを跳ぶ技術は世界のトップレベルにあるだけに、短期間で仕上げるのはそう難しいことではない。末續同様、気分転換の意味でも効果が期待できそうだ。

 シーズンが長いということは多少の失敗があっても修正は可能ということ。2人の思いきった取り組みに注目だ。

関連キーワード
RUN特集

ページトップ