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今期、福永祐一が絶好調なワケ。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byShigeyuki Nakao

posted2005/06/09 00:00

今期、福永祐一が絶好調なワケ。<Number Web> photograph by Shigeyuki Nakao

 今年だけで早くも4回目のGI・制覇。圧倒的な1番人気の支持を集め、馬の強さをたっぷりと見せつけて制したシーザリオ(栗東・角居勝彦厩舎、牝3歳、父スペシャルウィーク)のオークスは、福永祐一騎手の会心の演出だったようにも見えた。しかしゴールの瞬間にはガッツポーズがなく、福永の表情にはいつもの柔らかい笑顔もうかがえなかった。「馬の強さに救われました」は、100%のホンネだったのだ。

 マイルの桜花賞から、一気に800mも距離が延びるオークスだから、超スローになるのはあらかじめ読めていた。福永は「ゲート(の出方)次第では逃げてもいい」と秘策を描いていたほどだった。

 しかし甘くはなかった。シーザリオは4番枠。5番枠が武豊騎手のエアメサイアで、「枠順が発表されたときから嫌な予感はしていた」そうだが、その通り、スタートでアタマかクビ程度先を越されただけで、苦しい位置取りを余儀なくされてしまったのだ。後方、しかも窮屈なイン。それでもジタバタせずに流れに身を任せた判断が、最終的な栄光につながるわけだが、道中は生きた心地がしなかったはずだ。武豊騎手も「ボクとしては完璧な騎乗。直線で余力十分に抜け出したときは勝ったと思った」と言うのだから、馬群をさばきにさばいて、最後の最後に大外から差し切った脚は奇跡のようでもあり、必然だったのかもしれない。

 色紙にサインは「福永雄一千」と書く。これは落馬事故で片方の腎臓を摘出する大怪我を負って以来のことで、お母さんの姓名判断に従ったのだそうだ。

 「父が落馬で大怪我をしたのに、ボクは母の大反対を押し切って、自分のわがままで騎手の道を選んでしまったわけです。名前については母がずっと字画の悪さを気にしていました。怪我という親不孝をしてしまったことをきっかけに、母が勧める名前を受け入れることにしたんです。正式な改名ではありませんが色紙に書くサインを改めれば、それが一番数多く使う新しい名前だからと、母に納得してもらいました」

 今年の大活躍を誰よりも喜んでいるのは、もちろんご両親だ。父の洋一さんは、競馬中継を食い入るように見つめ、息子が勝つと心底うれしそうに手を叩くのだそうだ。

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