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ファン増加の陰に隠れた多くの課題。 

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片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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posted2005/05/12 00:00

 3歳のディープインパクト、古馬のゼンノロブロイと、久々に競馬人気を背負って立てそうな二枚看板が出てきた。その効果なのだろう、今年に入って競馬場にやってくるファンの数は順調な伸びを見せている。しかし売り上げはというと、正直言って頭打ち。これは、3連単というハイリスクハイリターンの馬券を主力商品としたJRAの販売政策がそうさせたものと分析することができる。

 100円玉が1000万円の札束に化けるほどの破壊力を持っている3連単は、ブルジョア層の人たちであっても、1点1000円の投資に二の足を踏ませてしまう。つまり、ほとんどのファンは100円単位の購買。JRAはそれでも多くの人が参加してくれるからいいと読んだのだろうが、結果を見るとちょっと違う。馬主席の声を拾うと、「最近は大口で馬券を買う気がしなくなった」と、以前の主力であった、単複や馬連、枠連の大量買いでさえためらう空気が定着してしまったのだ。これは大きな誤算だったのではないか。

 主催者は、常にファンの気持ちを先読みできなくてはいけない。スターは作られるものではなく、自然に発生するもの。しかし、それに乗じて大きなブームに仕立てることができるかどうかは、主催者のセンス次第だ。

 存続が危ぶまれている地方競馬に目を向けてみよう。

 特に岐阜県営の笠松競馬は、今年度が赤字なら即廃止という、最も厳しい状況に置かれた経営を強いられている。そこでどんな政策が立てられたかというと、調教師、騎手、厩務員から、窓口従事員に至るまで、手当てや日当を大幅にカット。さらには賞金や出走手当てまで下げ、ペイできないからと中央交流の重賞レースまでやめてしまったのだ。これなら、たしかに小ぢんまりと来年も続く可能性はある。しかし、それはいわゆる「ジリ貧」というヤツ。馬主の誰一人として儲からず、騎手や調教師のトップになってもサラリーマン以下の収入という世界に、魅力を見出せというのは難しい。

 緊縮財政は仕方がない。しかし、賞金だけは譲ってはいけない。勝者だけは幸せになれる。最低でもそういう夢を保持していけなくては、競馬は成り立たないと知ってほしい。

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