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祖母井GMに学ぶ、
「いい監督」の見分け方。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byYukihiko Kimura

posted2007/06/28 00:00

祖母井GMに学ぶ、「いい監督」の見分け方。<Number Web> photograph by Yukihiko Kimura

 あるビジネス誌の取材でグルノーブルのGMに就任した祖母井秀隆氏に会う機会があった。オシムを日本に呼んだGMとしての交渉力や営業力を中心に話を聞いたのだが、個人的にどうしても訊いてみたかったことがあった。

 「いい監督」と「悪い監督」の見分け方、である。

 祖母井GMは今までにオシムを筆頭にベルデニックやベングロッシュなど東欧の名将を続々と連れてきて、ほとんど外れクジを引いていない。ヨーロッパの伝統ある名門クラブでさえ、ダメ監督を雇って痛い目にあうことがあるというのに。

 祖母井GMがまず重視しているのは、「アクションをおこせる」という要素だった。

 「やっぱりサッカーっていうのは、受身じゃだめですよね。自分たちでアクションを起こして点を取りにいける監督がボクは好きです」

 守備を固めるリアクション・サッカーなら頭を使わなくてもできるだろう。しかし、アクション・サッカーをするためには、攻撃をするための何かしらのプランが必要だ。監督の戦術度をチェックするうえで、ひとつの判断材料になる。

 そして祖母井GMが最大の条件にあげたのが「人間性」だった。

 「ボクは裏表がなくて信頼できると思った人としか仕事をしたくない。だから人間性については徹底的に調べるんです」

 その理由は単純明快。サッカー界には、私腹を肥やそうとする監督があまりにも多いからだ。代理人のなかには、監督に選手獲得の謝礼として「裏金」を渡す輩が少なくない。そういう悪魔の囁きに1度でものって弱みを握られた監督は、その代理人に一生こき使われることになる。何でこの選手を取るの? というような移籍の裏には、たいてい何らかの事情が絡んでいるのだ。だから祖母井GMは、監督候補者の人間性についての情報をあらゆるルートを使って集める。

 祖母井GMの監督選びの基礎には、戦術面においても、人間性においても、まるでベテラン記者のような徹底的な第3者への調査がある。日本サッカー協会はもちろんJリーグの多くのクラブは、外部の意見を集めるという祖母井GMの「取材力」を大いに参考にするべきではないだろうか。

■関連コラム► 「個」に徹することがチームの「利」。松井大輔、復活へのステップ。(2009年7月11日)
► カギを握るGMの「言動」。 【Column from Germany】 (2009年3月13日)

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