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世界陸上まであと100日。為末大、丸の内で跳ぶ。 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byKentaro Mori

posted2007/06/14 00:00

世界陸上まであと100日。為末大、丸の内で跳ぶ。<Number Web> photograph by Kentaro Mori

 8月の大阪世界陸上へ向けた陸上競技のPRイベント「東京ストリート陸上」が5月27日、東京駅前の丸の内仲通りで行われた。発案者は400m障害で世界陸上銅メダル2回の為末大。発端は昨年9月、彼がテレビのクイズ番組で賞金1000万円を獲得したことだった。陸上界の宣伝部長を自任する為末はこれを競技PRに使うことを決意。「生で見たことのない人に見て欲しい」と街頭での競技イベントを実現した。

 参加したのは為末のほか、100m日本歴代2位の朝原宣治、10秒22の自己ベストを持つ菅野優太、そして棒高跳び'06年日本ランク2位・有木健人の計4人。

 道路には全長75mの陸上用マットが敷かれ、歩道は約2500人の見物客でぎっしり。近くの丸ビルから見下ろす買い物客も多く、期待通りの注目を浴びた。

 まずは有木が5m25に挑戦してクリア。これは、別の街頭イベントで、日本記録保持者の澤野大地が跳んだ5m20を上回る「ストリート日本記録」。すぐ近くの信号機とほぼ同じ高さまで、人間が舞い上がる迫力に観衆はどよめいた。PR効果という点では、これが一番だった。

 続いて朝原と菅野の50m勝負、「世界一の技術」と言うべき為末のハードリング披露もあったが、これは人垣が厚過ぎて後ろの人にはよく見えず、陸上競技をPRする難しさも感じさせた。

 加えて、普段は関心の薄い人たちが見ていた状況を考えると、選手の情報をもっと売り込んでもよかったように思う。6月で35歳になる大ベテラン朝原は今季絶好調で、5月に今季日本最高の10秒15を出したばかりであることや、為末も今季世界ランク7位のタイムで大阪GP3位と順調であることをアナウンスすれば、世界陸上への期待感も高まったはずだ。

 ただ、選手主導でこれほど画期的なイベントが行われたことは、本当に価値がある。参加理由について朝原は「これからの陸上界のことを考えるようになったから」。為末は「お金の稼ぎ方はいろいろあるけど、大事なのは使い方。陸上界に対して、誇れる使い方ができたと思う」と嬉しそうだった。今回の試みは、大会にタレントを呼ぶといった方法ではなく、どうすれば競技の真の魅力を伝えられるのか、陸上界のみならず、日本のスポーツ界に一石を投じたと言えるだろう。

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