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全米で話題の的、アイバーソンの代表落選。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2006/03/23 00:00

 アレン・アイバーソンが、米代表候補から外れた。

 そのことにも驚かされたが、それに対する世間の反応も意外だった。なにしろ、「アイバーソンが入らないなんておかしい」「せめて候補として選ぶのが彼に対する礼儀」と、次々とアイバーソン援護論があがったのだ。

 10年前にNBAに入ってきたとき、世間ではアイバーソンは反逆児のシンボルのような存在だった。まだNBAでも珍しかったタトゥーとコーンロー姿で、常に思ったままを口にする彼自身を世間が受け入れるのには少し時間が必要だった。実際、NBAオールスターに選ばれるまでにも4年かかっている。

 そのアイバーソンが、今回はまるで愛国心の旗印のように奉られていた。

 意外だったと書いたが、予想できたことでもあった。2年前のアテネ五輪で、ほかのベテラン・スーパースター選手たちが怪我などを理由に次々と代表の座から辞退していったとき、アイバーソンは進んでアメリカを代表した。準決勝でアルゼンチンに敗れて金メダルを逃したときほかのどの選手より悔しがり、3位決定戦でも最後まで勝負を諦めなかった。アイバーソンがいなければ、アテネ五輪でアメリカはメダルを取ることすらできなかっただろう。そのときの彼の姿勢が、人々の記憶に残っていたのだ。

 実のところ、アイバーソンが代表から外れたことは、米代表が大きな転換期を迎えていることの象徴でもあった。代表メンバーを選考したジェリー・コランジェロは「オールスター・チームを選んだのならアレンは入っていた」と言う。オールスター・チームを組むだけでアメリカが最強だった時代は終わっていた。今回の米代表は、チームの核となる選手、長距離シューター、パス役、ディフェンダーと個々に明確な役割を与え、チームとして最強になるように選抜された。アイバーソンがその構想から外れたというだけのことだった。

 当のアイバーソンは、まわりのヒステリックな反応とは裏腹に、意外なほど冷静にこのニュースを受け入れた。

 「選ばれなかったことに怒ってはいない。彼らが金メダルを持ち帰れるように応援するだけ。その分、夏に子供たちといっしょに過ごす時間が多くとれるしね」

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