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木曽の帰国が暗示する、日本ラグビーに必要なこと。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byShinsuke Ida

posted2004/08/26 00:00

木曽の帰国が暗示する、日本ラグビーに必要なこと。<Number Web> photograph by Shinsuke Ida

 木曽一が帰国した。

 4月からNZに留学。ラグビー王国の頂点を争うNPC(州代表選手権)のノースハーバー代表に選ばれた木曽だったが、NPCでプレーするには現地の協会とプロ契約し、在籍するヤマハ発動機での登録を抹消する必要があった。IRBは複数国に跨る選手の二重登録を禁止している。そして日本のトップリーグは、8月末で登録を締め切る。木曽が10月までNPCに出場すると、11月に帰国しても、2月の日本選手権まで続く国内シーズン本番には出場できなくなる。

 「保守的かもしれないけど、社会人としてその選択はあり得なかったし、僕自身ヤマハのチームが好き。プロになってNPCに出るという結論は出せなかった」

 選択は、今季のNPCの断念だった。同じく今年、NPCサウスランド州代表の座を射止めた大久保直弥はサントリーを退社してNZへ渡った。古くは村田亙も東芝府中を退社してフランスに挑んだ。しがらみを断ち切ってこそ、彼らは新たな夢を掴んだ。

 しかし、25歳の木曽は次回W杯の中軸を担うジャパンのニューリーダー。日本協会には、そんな選手がどんな経験を積むべきかを考えてほしかった。協会には複数の社会人チームから、特例扱いを牽制する意見も届いたというが、トップリーグ設立の趣旨に「日本代表を強くする」という大命題が含まれていることを思い出してほしい。オールブラックス予備軍がひしめくNPCに身を置いた選手が日本に戻ってプレーすれば、相手チームもその財産を分かち合える。「若い選手は僕の世代よりも海外指向が強い。彼らが日本でのプレーに魅力を感じなくなったら怖い」と話した木曽自身の再挑戦も含め、次のチャレンジャーは必ず現れる。彼らの勇気に応えるルールを、日本協会は速やかに整備してほしい。

 同じ意味で注目したいのが、9月9日からスリランカで行われる7人制W杯(来年3月、香港で開催)アジア予選だ。'01年ワールドセブンズを最後に日本での国際大会が途絶え、7人制への関心が低下している上、トップリーグ開幕前週の予選開催。選手招集には難しい条件が並んだが、「今のセブンズは組織力の時代。経験を積んだメンバーが必要」と本城和彦監督は訴える。予選に臨む日本代表メンバーは、23日にも発表される見込みだ。

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