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あの「名作」の復活で、競技人口の拡大なるか。 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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posted2004/09/09 00:00

 日本ラグビー協会のスタッフは9月18日を心待ちにしている。2年目のトップリーグが開幕するこの日は、同時に映画『スクール・ウォーズHERO』が全国60の映画館で封切られる日なのだ。

 20年前。元日本代表の山口良治監督のもとで高校ラグビー日本一に輝いた伏見工をモデルに、薄幸の少年イソップ、純情ワルの大木、白馬に乗った伊藤かずえ、赤いブルマの岡田奈々など虚実多彩なキャラクターを配したTBSドラマ『スクール★ウォーズ』は、最高視聴率20%を超えるヒット。さらにほぼ隔年ペースで行われた再放送の翌春は高校ラグビー部の新入部員が激増するという法則まで確立した。やがてラグビー人気が下降線を辿り、部員不足で大会を辞退する高校が続出した'90年代後半には、当時の日本協会・金野滋会長が「高校の監督たちから『スクール★ウォーズ』の再放送をTV局に働きかけてくれと頼まれてるんだ」とこぼしていた。

 実は前回のドラマが作られた際、日本協会はアマチュア規定を盾に一切の協力を拒否。それゆえ、ロケ地や技術指導、用具やエキストラの手配にもラグビー界の人脈・情報は活かされず、ドラマのスタッフがゼロから取り組んだ。それから20年。より実話に近く復刻(リメイク)された今回の映画には協会が全面的に協力した。オールブラックスのウォークライを演じた外国人の中には、協会職員の依頼で出演した某トップチームの現役選手もいる。『キャプテン翼』がサッカーの、『スラムダンク』がバスケットの人気を爆発させたように、ラグビーの競技人口を増加させる起爆剤にと協会が切実に待ち望んだのがこの映画なのである。

 ただし映画は、無料(ただ)でお茶の間まで来てくれるTVアニメや、立ち読み・貸し借りができるコミックとは違う。若手俳優が骨折したまま撮影を続けたというクライマックスの試合シーンは、自分がグラウンドで戦っている感覚に襲われるほどのリアルさで、体と体をぶつけあうラグビーの魅力を余すところなく映像化しているが、劇場に足を運ばなければその特別な感覚も体験できないのだ。

 協会が20年前のドラマ効果再現を真剣に願うなら、ラグビーへの無関心層をも劇場へ向かわせる具体策が必要だ。絵に描いた餅だって、見なければ涎(よだれ)も出ない。見れば食べたくなる。そう思わせれば勝ちなのだから。

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