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日ハムを去る小笠原、
日本一の立役者がなぜ? 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byKoji Asakura

posted2006/11/23 00:00

日ハムを去る小笠原、日本一の立役者がなぜ?<Number Web> photograph by Koji Asakura

 「ドラフト1位と違って、ロクに契約金ももらえなかった人間にしてみればどうしてもこのチャンスは逃したくなかった」

 もう12年も前のこと、FA選手第1号として阪神からダイエーに移籍した松永浩美が、こんな話をしていたことを思い出す。清原和博が西武から巨人にFA移籍した時は、「10年も王様として君臨していたチームを離れて、最初からやり直すのは誰だって苦痛ですよ。でも、新しいところでやりたいという少年のような思いには勝てなかった」と、憧れの球団に移る気持ちを話していた。

 11月6日、日本ハムの小笠原道大が、移籍を視野に正式にFA宣言した。44年ぶりの日本一の立役者である。新庄剛志が引退した今、チームの顔であることも間違いない。では、小笠原はなぜ決断を下したのだろうか。

 ひとつには、ドラフト3位で入団してから10年、あらためて選手としての評価を聞いてみたかったという思いがあるだろう。日ハムの高田繁GMは金銭的な条件に関して「世間の相場の範囲でやる」と言ったが、広島残留を表明した黒田博樹との違いは大きい。広島には、何が何でも引き止めたいという気持ちが見えた。

 また、家庭の事情もある。小笠原の夫人は小学校受験を控えた愛娘とともに、実家のある千葉県に住んでいる。家族で一緒に住むために千葉から通える首都圏の球団(例えば巨人)を希望しているという話はずっとあった。

 その一方で、中日の攻勢もある。落合博満が日ハムにいた時、ヘルメットやグラブの運び役を務めていたのが小笠原だった。当時、小笠原は「お前は球界を背負う打者になれる。フルスイングで行け」という落合の一言で目覚めたのである。その落合が率いる中日には、今季、日ハムから上田佳範、奈良原浩(来季からコーチ)が入り、小笠原と仲のいい面々が顔を揃えているのも強みとなる。

 ただ、小笠原にとって重要なのは、新たな挑戦をしたいという気持ちではなかろうか。WBCで世界一、日ハムで日本一。頂点まで登り詰めた世界から、ストイックに自分を追い詰めることができる新天地へ。ファンが見たいのも同じだ。どこの球団であろうとフルスイングを貫く小笠原の姿である。

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