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日光バックスに賭けるセルジオ越後氏の決意。 

text by

戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

PROFILE

posted2006/08/30 05:56

 異色のパートナーシップが実現した。サッカー解説者のセルジオ越後氏が、アイスホッケーの日光神戸アイスバックスのシニアディレクター(SD)に就任したのである。

 きっかけはごく単純なものだった。数年前に越後氏が知人の紹介でゲームを観戦してから、毎年夏に選手たちとフットサルをするなどして親交を深めてきた。そして今回、選手を含めたチーム側の強い要望でフロント入りとなった。

 「やってくれないと辞める、なんて言う選手もいたんでね。他競技とのつながりが薄い日本の習慣を打破して、本当の地域密着を進めるためにも、バックスを盛り上げることは価値があると思うんだ」

 日本初にして唯一のプロチームという看板を持つバックスだが、クラブ経営は非常に厳しい。年間予算はわずか1.4億円、選手の平均年俸は300万円たらずである。給料の遅配も珍しくない。

 シーズンオフになると、選手たちも次年度のスポンサー獲得に奔走する。チーム全体での練習時間が確保できなくなる。準備不足は開幕時のつまずきを慢性化させ、リーグ戦の低迷にもつながっていた。

 越後氏のSD就任は、およそプロらしからぬそうした悪循環を打破するためである。就任1年目の今シーズンは、無給のボランティアとして汗を流す。

 「運営、普及、営業、強化。何でもやっていくつもり。選手が競技に集中できる環境を作る」

 アイスホッケー界全体の活性化を担いたい、という気持ちもある。

 「いまのアイスホッケー界は、点滴を打ち続けてるようなもの。企業チームだけが成功している現状では、企業に興味を持ってもらわないと何もできない。でも、バックスが成功すれば2つ目のプロチームが出てくるかもしれない。バスケとかバレーとか卓球などの室内競技と手を組んで、1年間を通じて普及活動ができるようにしたい。来年開幕のフットサルの全国リーグ参加も視野に入れてるよ」

 SD就任が明らかになった翌日には、早速フットサル大会を開催した。8月中旬に行われたトライアウトにも立ち会った。シーズン中はベンチにも入るという。

 「今年は営業があるから東京が便利だけど、来年からは日光に住もうかな」

 越後SDは本気である。

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