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外国馬参入を認めない、競馬界の鎖国体質。 

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片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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posted2007/03/08 00:00

 現在の日本の競馬界は、よくも悪くも社台グループによる寡占状態である。重要なレースほど、出走表に社台関連馬が多くを占める傾向が定着し、むしろ少ないほうが異常事態と思えてしまう。それは相撲界における、全盛時の二子山部屋をしのぐほどの勢いなのだ。

 先代の故・吉田善哉さんが、種牡馬ノーザンテーストをカナダから持ってきて大成功を収めたことでしっかりとした礎が築かれ、二代目の吉田照哉さんがサンデーサイレンスに冒険とも言える大きな資本を投下した大博打が的中し、これが文字通りの「打ち出の小槌」になったのは皆さんもご承知の通りだ。

 吉田一族の素晴らしさは、馬で稼いだお金を惜しみなく馬につぎ込むというブレない姿勢にあると思う。失敗した投資も数知れずあるそうだが、その中から当たりを引き続けることで盟主の地位を堅持している。吉田照哉さんは自ら、「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」と、今後も世界を股にかけて時代をリードする血を導入し続けていく決意を語っている。

 そんな吉田さんが起こした行動が波紋を呼んでいる。売り上げの頭打ちに悩む大井競馬が、開催の活性化の切り札として発表した、「現役外国馬の導入策」に対して、「日本の軽種馬生産者の存続に関わる大問題だ」として、抗議行動の旗振り役を率先して務めたというのだ。

 「エッ?」と思ったのは筆者だけではあるまい。デモや抗議集会というのは、吉田さんのような資産家がすることではないからだ。それだけではない。海外に通用する馬を作るのは善哉さんの時代からの夢だったはずで、事実、社台グループは日本の競馬をその分野で見事なほどのリーダーシップを発揮して牽引してきたはずなのだ。こちらは世界に出て行くけど、向こうからこちらには来ないでくれ、という理屈が通用するとは到底考えられない。関税等で十分に制限がかかっているのに、である。

 さらに意外なことに、この主張には外国から種牡馬を輸入する事業も行なっている日本軽種馬協会も同調しているという。今原照之副会長(前職はJRAの常務理事だった人だ)が「導入が計画通り実行されれば、全面戦争になる」と過激発言。相変わらずの鎖国体質を恥じずに口に出せるのは何故だろうか。

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