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衝撃デビューを飾った、'07年期待の新星。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

posted2007/02/08 00:00

 「2年間、なによりもあの馬を最優先した騎手生活を続けてきましたが、身軽になった今年は、ボク自身の成績にこだわってみるつもりです」

 あの馬とは、もちろんディープインパクトのこと。史上最強と認めるスーパーホースが競走生活を全うしたことを受けて、'07年の抱負をこう明らかにしたのは武豊騎手だ。

 彼の事実上の年明けは、1月20日の京都競馬。昨年暮れの香港での国際騎手招待レースで不本意ながら騎乗停止処分を受けてしまい、国際ルール上、年明けの17日まで競馬に乗ることを許されなかったのだ。

 その初日に、武豊騎手はとんでもない馬と出会ってしまう。良馬場の芝1800mの新馬戦。ただ一頭、次元が違う伸び脚で8馬身のぶっちぎり勝ちを演じたオーシャンエイプス(牡3歳、栗東・石坂正厩舎、父マヤノトップガン)がそれだ。勝ち時計の1分49秒8は平凡だが、上がり3ハロンの34秒3が強烈。2着馬のそれが35秒7だったのだから、“海猿”という名前を持つこの馬がどれほど弾けたかが想像できるだろう。

 これでも「直線に向いたところでスタンドを見てしまい、その分だけ真っ直ぐに走れなかった」そうだから、若さいっぱいの荒削りな内容だったことがわかる。もっと集中力が増せば鞍上に本気で追われるはず。そのときにきちんと対応できるようなら、先輩ディープインパクトしか成し得なかった、「飛ぶような走り」の再現があるかもしれない。

 今年のクラシック戦線は、まだ突出した主役がいない。何頭かいる重賞ウィナーより、2戦2勝のニュービギニング(牡3歳、栗東・池江泰郎厩舎、父アグネスタキオン)が、ディープインパクトの半弟という血統背景も加味されて最有力候補にあげられているのがいまの状勢なのだ。そう考えると、1戦1勝のオーシャンエイプスをクラシック候補にあげても気が早すぎることはない。

 「わからないところが残っています。もう一戦してみないと……」と武豊騎手は慎重だが、「マヤノトップガンというよりも、サンデーサイレンスの子のような爆発力です」と、切れ味の凄さをはっきりと認めている。またも出たか、の予感を、彼も感じている様子だ。

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