祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢の如し――。
なんて怨みがましい琵琶法師の声が、横浜方面から聞こえて来そうなペナントレース開幕からここまでの戦い。
開幕ダッシュという春の夜の夢も黒い五連星の前に潰え、再び変らないプロ野球のある慈しむべき日常を取り戻せた横浜の人、いまだ悪夢から覚めずにいる名古屋の人、いやいや、これは夢でなく予想通りの実力だとご満悦な福岡の人ら、思い思い春の夜を過ごされるプロ野球ファンの方がいることと存じます。
そんな中、春から快進撃を果たしていたチームがありました。
その名は、広島東洋カープ。春の夜に連なる白い星は6つ。
前回の記事にて、113人中101人の評論家に最下位と予想された横浜ベイスターズに次いで、100人近くの評論家に「5位」と予想されたこのチーム。某野球専門誌の特集では「10強2弱時代」と囃したてられ、横浜と共に球界の味噌っかすみたいな扱いを受けるに至っていたカープが、今年は開幕こそ躓いたものの、その後勢いを増していた。
何故だかわからぬが……やたらと勝っている広島カープ。
先週前半には、開幕から絶好調の横浜と広島による“首位攻防戦”がハマスタで行われた。のちに「4・19横浜決戦」と呼んでしまう生き急ぐ一部の人もあるような気もする、このセ・リーグ天王山のハマスタ三連戦。そこでは、カープの勢いを嫌というほど見せつけられた。
初戦、4回に集中打で一挙5点を奪い、エース前田健太が初勝利。
二戦目、篠田がびっくりするほど危なげない投球で2安打完封。
三戦目、6回に4連打で3点、7回に2点、8回に3点と後半に打線が爆発し、粘るベイスターズをうっちゃっての力勝ち。
宮島さんの神主がおみくじ引いて申すまでもなく、今日もカープはカッチカチ……で気がつけば6連勝。
強い。
だが、具体的に何が強いのか、昨年と何が変わったのかを考えてみてもピンとくるものがあまり思い当たらない。
篠田、青木高広の左腕は抜群によかったし、4年目の丸など若手も出て来てはいる。だが、前田健太は決して調子がいい状態とは言えないし、打線も廣瀬以外は、そこまで好調とは思えない。新外国人の4番トレーシー、右腕のバリントンにストッパーのサファテ……やる雰囲気は持っているが、まだエンジン全開とは行っていない。横浜でいう「村田が走った!」というようなチーム意識の変化みたいなものも感じないし、監督の采配も、劇的に変った印象は受けない。
ならばカープファンはどう思っているのか?
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