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情に厚く日本好き。
46歳で引退した男の素顔。
~ランディ・ジョンソンの功績~ 

text by

津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2010/01/27 06:00

情に厚く日本好き。46歳で引退した男の素顔。~ランディ・ジョンソンの功績~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 208センチの長身から100マイルの速球を投げ込む『ビッグ・ユニット(巨大な物体)』として名を馳せたランディ・ジョンソンが、年明け早々の1月5日に現役引退を表明した。

「こんなにも長く野球ができるとは思ってもみなかった。今が潮時。自分の決断に揺らぎはない」。46歳のランディが、22年間ものメジャー生活で積み上げてきた記録が燦然と輝く。左腕として過去最多となるサイ・ヤング賞を5度受賞するなど、投手3部門(勝利・奪三振・防御率)だけで通算14タイトル、昨年6月に歴代24人目の通算300勝もマークした。積み重ねた奪三振数4875を上回る投手は、ノーラン・ライアンただ1人しかいない。40歳8カ月8日での完全試合は、史上最年長記録となった。

威圧感ある風貌に隠された細やかな気配り。

 メディア嫌いで威圧感たっぷりの風貌から、近寄りがたい印象だったが、実は人情派で気配りが人一倍できる男でもあった。代理人はバリー・マイスターとアラン・ニーロ。アマチュア時代のある試合で雨が降り始め、多くの代理人が去る中で、最後まで見守ってくれたこの2人をどちらかに絞れないという理由で、あまり例をみない代理人2人体制にして現役最後まで義理を尽くした。また今回の引退でも、本来ならば大々的な会見が用意されて当然の選手だったが、翌日に野球殿堂入りの発表が控えており、「同じ日にはしたくない」と大先輩に配慮して電話会見となった。

お忍びで何度も来日。プライベートで富士山登頂も。

 そして大の日本贔屓という側面も持ち合わせていた。過去に日本のバラエティ番組に出演したことは知られているが、お忍びでも幾度となく来日。プライベートで富士山に登ったり、地下鉄に乗って1人で入った喫茶店で日本のファンに囲まれて立ち往生したり、80歳位のお婆さんから求められたサインに応じ、後にお礼の手紙とお箸を贈られるなどといった心暖まる出来事もあったそうだ。当時の関係者が「礼儀正しい日本人が本当に大好きだったんでしょう」と懐かしそうに教えてくれた。

 そんなランディは今、ゆっくり日本を再訪したいと本気で考えているという。もしもどこかの街で、飛び抜けた長身で細身の米国人を見掛けることがあったら「おつかれさま」と功績を労ってあげてほしい。

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