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パイレーツ入りの岩村明憲、
お遍路姿で決意を語る。
~新天地ではチームリーダーに~ 

text by

津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

PROFILE

photograph byShinichi Tsugawa

posted2010/01/20 06:00

メジャー4季目となる2010年、新天地パイレーツでは2番二塁手を任される可能性が高い

メジャー4季目となる2010年、新天地パイレーツでは2番二塁手を任される可能性が高い

 流浪の俳人・種田山頭火は『人生即遍路』という言葉を残したが、昨季、天国と地獄を味わったこの人にとっては『野球即遍路』なのかもしれない。パイレーツの岩村明憲が年末年始を使って、故郷・愛媛もルートに入っている四国八十八カ所の巡礼をしたのだ。

 白装束と杖の“お遍路さん”スタイルでスタート。「2009年はケガをしてしまったので、キャンプインにむけて故障のない良い一年にするために、体も心も清めたいと思った。チームも変わったし、新天地での意気込みもあるしね」と、寺院が開いている毎朝7時から夕方5時まで、自ら車のハンドルを握り、コンビニのおにぎりをほお張りながら、精力的に寺を巡って行く。

チーム一の高年俸選手となる岩村に寄せられる期待の大きさ。

 昨年は本当に波瀾万丈だった。春先に歓喜のWBC連覇を味わったが、5月には左ひざ靭帯の部分断裂で残りシーズン絶望とも言われた。だが奇跡的な回復力で8月末にメジャー復帰。そしてオフに入り、レイズからパイレーツにトレードで移籍した。そんな岩村が、巡礼中に足を止めて見入ったのは不動明王像。「逞しくカッコいい不動心に憧れる。僕の理想とする姿です」と、山中の崖によじ登って、眼前の巨大な石像に想いを馳せた。

 今季からプレーするパイレーツでは重要な役目を担うことになる。弱小レイズをリーグ優勝に導いたリーダーシップを期待するからこそ、首脳陣はチームトップの年俸485万ドル(約4億4000万円)となる岩村を招聘した。かつて世界一5度の名門も、今では17年連続負け越し中。白装束の下にパイレーツのウエアを着込んだ岩村は、巡礼に訪れたすべての寺で必勝祈願をしていたに違いない。

『不屈の何苦楚(なにくそ)魂』で4季目のメジャーに挑む。

 行程の半分を終えて、雪の降りしきるなか絵馬に座右の銘の『何苦楚(なにくそ)魂』をしたためた。そしてその頭には『不屈の』の三文字が加わっていた。「八十八カ所、そして(満願成就のため参拝する)高野山を回って最後にそういうものになっていればいい。魂にもっと磨きをかけて、どんなことにも折れない心を持つことが大事」と意図を明かしてくれた。

 最初は棒読みだった般若心経も「だんだん読めるようになってきたね」と笑顔の岩村。八十八カ所を巡り終え、1月下旬の高野山の“お礼詣で”まで修行の旅は続く。

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