SCORE CARDBACK NUMBER

愛すべき問題児、アーテストの選んだ道。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph by

posted2006/02/23 00:00

 1月25日にインディアナ・ペイサーズからサクラメント・キングスにトレードになったロン・アーテストは、1999年にNBA入りして以来、とにかくエピソードに事欠かない。

 NBAドラフトの前夜、緊張で寝付けずにアイロンをかけ続けたというエピソードは微笑ましかった。ブルズにドラフト指名され、シカゴに引っ越してまもなく、新居に揃える電化製品を店員割引で買いたいという理由で大型電気店の求人募集に申し込んだという話には呆れたが、それでも笑い話にできた。

 マイケル・ジョーダンが2度目の現役復帰をしたとき、彼に敬意を示したいと背番号を23に変えたのには驚いた。その次のシーズンに今度はデニス・ロッドマンの背番号91に変えたときは、あまりに彼らしくて笑い、納得した。

 しかし、彼は笑えないエピソードもいくつも作り出している。1年前、試合中に観客席に飛び込んで観客を殴った事件。さらに、そのときにアーテストを庇ったチームに12月に突然トレードを要求。

 アーテストの選手としての才能は誰もが認めるところだ。特にディフェンスではリーグ中彼の右にでる選手はいず、毎試合、相手チームのエースを封じ込めることに誇りを持っている。

 チームの戦力にとっては絶対的にプラスなのだが、ある日突然、すべてをマイナスに転じさせる危険性も備えた選手。それが、今のアーテスト評だ。マイナス部分に目を瞑れなくなったペイサーズは、その類まれなる才能を手放した。

 かわりに彼を受け入れたのは、キングスのオーナーで、ラスベガスにカジノホテルを所有するジョーとガビンのマルーフ兄弟である。「僕らは根っからギャンブラー。だから彼に賭けてみることにした」とガビン・マルーフは言う。

 そんなマルーフ兄弟の気持ちにアーテストは、「僕にできることは、これを彼らにとっていい賭けにすること」と優等生コメントで応える。

 ちなみに、アーテストが新天地で新たに選んだ背番号は「93」だった。その数字を選んだ理由をアーテストは説明する。

 「93はかっこいい、無限の強さを持つ数字だ。この数字を2時間見つめていたら、きっと俺の言う意味がわかる」

 また新たなエピソードが一つ加わった。

■関連コラム► J・オニールが見せた非情なまでの決意。 (06/01/26)
► 激情のディフェンダー。 (04/05/25)

関連キーワード
NBA

ページトップ