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ブライアントの大記録、81点がもたらした幸福。 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2006/02/09 00:00

 1月22日のトロント・ラプターズ戦で、ロサンゼルス・レイカーズのコービー・ブライアントはNBA歴代2位の1試合81得点を記録した。40年以上の間、故ウィルト・チェンバレンが独占していた一試合最多得点記録の上位に食い込んだというだけでも凄いのだが、絶対に破られない記録と思われていたチェンバレンの100点まであと19点と近づき、もしかしたら100点越えも可能なのではないかという声まで出はじめた。

 それだけの大記録だったのだが、ブライアントは記録達成よりも、試合後にマジック・ジョンソンからもらった電話のほうが嬉しかったと言う。ジョンソンから「すばらしい試合だった。君のことを誇りに思う」と言ってもらったのだと、笑顔を見せた。

 「子供の頃からずっと憧れてきたマジックからそう言ってもらえたことは、試合以上に自分にとって大きな意味を持っている」とブライアントは言う。

 もうひとり、賞賛されて嬉しかった相手がブライアントにはいた。過去に何度となく衝突してきたレイカーズのヘッドコーチ、フィル・ジャクソンだ。ブライアントが81点を達成してベンチに下がったとき、ジャクソンは笑顔とハグ、賞賛の言葉で彼を迎えてくれた。

 「僕たちはこれまで多くのことをともに経験し、乗り越えてきた。それだけに、あの瞬間は特別だった。試合をするとき、僕は彼を喜ばすように努めている。だから、ああやって笑顔で迎えてもらえたのは最高だった」

 あり余る才能を持ちながら自分勝手だと批判され、それでも批判に対してどこ吹く風と強がっているようだったブライアントだが、実は周りから認められることに人一倍飢えていたのかもしれない。

 世の中には、81という数字だけを見て「自分勝手」と批判する人もいるかもしれない。しかしこの日の81点は決してブライアントが独りよがりや自己満足のためにあげた81点ではなかった。彼が81点をあげなくては、あの日のレイカーズは試合に負けていた。だからこそ、ジョンソンもジャクソンも賞賛を惜しまなかったのだろう。そして、そのことを2人が理解してくれたことがブライアントには嬉しかった。それこそ、歴史に名前が残ること以上に。

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