SCORE CARDBACK NUMBER

“おかわり”中村剛也がおかわりを求める理由。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2005/06/09 00:00

 巨人は松井秀喜(ヤンキース)が抜けた穴を埋めるために、外から選手を求めようとした。一方、松井稼頭央(メッツ)の抜けた西武は、自前で選手を育てるというチーム方針を立てた。投手が揃っているうちに、何とか4番を打てる日本人を育てようと、土井正博ヘッドコーチは伊東勤監督に「今は我慢してくれ。必ず恩返し出来る時が来る」と言って、中島裕之をはじめ、若手を使い続けている。そんな土壌の中で育ったのが4年目の中村剛也である。

 大島裕行、高山久が伸び悩む中、中村はスンナリと一軍に入ることができた。松坂大輔と横浜高時代に同級生だった後藤武敏が、守備のマズさで降格したのと入れかわりで一軍に昇格。代打で登場するやいきなり二塁打を放つ。「形は悪いけど、必死に食らいついていく姿がいい」と首脳陣にも認められ、スタメンに起用された5月5日の日ハム戦。今度は4打数4安打2本塁打の快挙をやってのけたのである。

 キャンプの時、朝の声出しで「ボクの好きな言葉はおかわりです」と自らをアピールしてからついたあだ名が“おかわり”。交流戦に入ってからもその勢いは止まらない。歴史に残る交流試合第1号を広島・デイビーから放った。

 カブレラが故障した西武打線で、長打力がある事からたまたま起用されたラッキーボーイ。伊東監督は「記録に残るような事を最初にやるヤツは、何か特別な運を持っている」と言っていたが、本人は「まだまだ腹八分」と前向きである。

 性格はノンビリ屋。昨年は二軍で20ホーマーを打ちながら、欲がないと言われ続けてきた。だが、今年は少々目つきが違う。大阪桐蔭高時代の1年後輩、ロッテ・西岡剛の存在がその理由である。スイッチヒッターに転向した西岡は、今季メキメキと頭角を現わし、今や躍進ロッテのトップバッターを任されている。中村は「僕らの世代は甲子園に行けなかった悔しさがある分、プロで目立とうと誓い合った。アイツが頑張っているから、負けられない」と、交流戦後にお互いに一軍で再会できることを楽しみにしているようだ。

 “おかわり”の貫禄ある風体と、その陰に隠れた後輩へのライバル意識が、地味なチームにますます活気をもたらしている。

■関連コラム► 土井正博 「教えられなかった死球の避け方」 【特集:清原和博】 (2009年1月16日)
► 西岡剛 「今はまだ突っ走ってもいい」 【異端児の素顔】 (2008年4月17日)

関連キーワード
西岡剛
中村剛也
埼玉西武ライオンズ

ページトップ