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デラホーヤが成し遂げた6階級制覇の持つ意味。 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2004/07/01 00:00

 オスカー・デラホーヤが新たにWBOのミドル級チャンピオンベルトをコレクションに加え、6階級世界制覇を成し遂げた。フェリックス・シュトルムに僅差の判定勝ちを飾ったものだ。バルセロナ五輪の金メダリストから翌年プロに転じ、S・フェザーからミドルまで試合体重を上げること実に30ポンド(13・6kg)。さすがに腰のあたりは贅肉で膨らみナチュラルなミドル級のシュトルムと比べると見劣りがした。相当の無理を重ねてリングに上がったようだ。

 その代償も少なくなかった。かつての華麗な動きは影を潜め、鋭さを欠いたブローはヒットしても若いドイツのチャンピオンにほとんどダメージを与えられなかった。ベストのウェルターもしくはS・ライト級当時を思い起こせば、まるで鉛のハンデを身に纏って戦っているようだった。結果こそ予想通りとはいえ内容は3人のジャッジが揃って115―113の僅差を付ける際どい勝利。「最後の2、3回は試合を放棄したくなったこともあった」と本人が語るほど苦しい戦いではあったのだ。

 6階級世界チャンピオンは、シュガー・レイ・レナードとトマス・ハーンズの5階級を抜いて単独トップに立つ偉大な記録である。しかしこれは近年の階級細分化によってもたらされた数字ゲームの一面もあることをつけ加えておく必要があろう。例えば1930年代後半に活躍したデラホーヤの先駆者ヘンリー・アームストロングは、獲得したタイトルこそ3階級にすぎないが、フェザー、ライト、ウェルターと、ジュニアやスーパーのつかない王座ばかりである。しかも一時期これら3本のベルトを同時に保持していたというのだから、今ではとても考えられない。

 さて、デラホーヤの華麗なボクシング人生もいよいよ最終章に入った感がある。いつでもプロモーター業に専念する準備はできているが、アメリカのボクシング界もこれほど観客動員力のあるスーパースターはいないから、少しでも長く現役を続けてもらいたいところだ。しかし9月に4本のミドル級ベルトを懸けて戦う“死刑執行人”バーナード・ホプキンスとの一戦は早くも不利の予想を立てられている。「(以前のデラホーヤのように)頭を振ることが出来なくては、ホプキンスに殺されるよ」とはマイク・タイソンの見立て。あるいはこれがラスト・ファイトになるかも?

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