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1勝4敗だが進歩も見えたカーワン・ジャパン。 

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村上晃一

村上晃一Koichi Murakami

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posted2007/07/12 00:00

 カーワン・ジャパンの真価が問われたパシフィック・ネーションズカップが終わった。格上の5チームと戦い、1勝4敗。9月開幕のラグビーワールドカップ(W杯)での飛躍を期すチームの戦績としては心もとないが、ジョン・カーワンヘッドコーチ(HC)は言った。

 「ポジティブな要素の多い大会でした。ターゲットに的確に向かっているのは間違いありません」

 強化の足取りは確かに見えた。5月26日のフィジー戦では、素速く前に出る組織防御が機能し、スクラム、ラインアウトも安定。前半を15−3とリードする。ところが、後半立ち上がりのミスから簡単にトライを許し、大黒柱のNO8箕内拓郎キャプテンが負傷退場すると浮き足だって組織は崩壊。精神的脆さを露呈した。

 このホロ苦い敗戦がチームを格段に成長させた。続くトンガ戦では、初戦でミスの目立ったSO安藤栄次も丁寧にプレーし、WTB遠藤幸佑のトライを引き出すキックパスを決めるなど活躍。20−17と僅差勝負をものにする。第3戦の豪州A戦は経験の浅い選手で編成したため、10−71と大敗したが、前半25分までのスコア(10−10)が、ゲームプランの浸透を証明していた。

 そして6月16日、仙台で行われたサモア戦は必勝態勢のベストメンバーで臨み、ほぼ全員がNZや欧州のクラブでプロ契約している相手に3−13という大接戦を演じる。カーワンHCが「賢く戦いたい」と話していた通り、キックを軸に大半の時間を相手陣で戦うこともできた。

 だが、勝てなかった。最終戦となった6月24日のジュニア・オールブラックス(NZ代表予備軍)戦前、カーワンHCは説明した。

 「フィジーやサモアに対しては、相手の強味を消す戦い方でした。ジュニアに対しては、サインプレーなどすべて出して仕掛けていきます」

 箕内キャプテンほか数名を怪我で欠いていたが、ゲームキャプテンのLO大野均、CTB大西将太郎らが低いタックルを連発。ゲームプラン通りサインプレーからCTB今村雄太が抜け出すなど、チャンスも多かった。しかしトライは奪えず。前半3−10という接戦も、後半は疲労で足が止まり、ジュニアの卓越した個人技に防御を切り裂かれた。

 不安定だったラインアウトなど、課題は多いが、5連戦で浮き彫りになったのは、得点力不足とコンタクトフィットネス不足である。

 ゲームマネージメントを意識しすぎて攻撃選択が手堅く、一次攻撃で防御を崩しても、二次攻撃に結びつかない。二次、三次攻撃の約束事を整理統一し、PKからの速攻など果敢な仕掛けもほしい。組織防御の破綻は、激しい肉弾戦に疲弊して足がついていかなくなるのが要因。効率のいい得点と同時に個々のフィットネスの引き上げも必要になる。

 ただ、ジュニアはライバル豪州Aに50−0と大勝して早々に優勝を決めるなど、日本がW杯一次リーグで対戦するフィジー、カナダより実力は上。ウエールズ、オーストラリアと同レベルと見るべきだろう。楽観は禁物だが、日本代表が現実的にW杯で白星を計算できる力を身に付けつつあることは間違いない。

 7月15日〜22日、日本代表は北海道中標津で強化合宿を行う。カーワンHCは「地獄の夏合宿」と命名し、徹底的にコンタクトフィットネスを高める方針だ。そして、8月10日の壮行試合、続くイタリア遠征で攻撃面を磨き上げたい。

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