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殿堂入りは読めなかった
判断力に優れた名PG。
~NBAきっての鉄人、ストックトン~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byNBAE/Getty Images

posted2009/10/13 06:00

殿堂入りは読めなかった判断力に優れた名PG。~NBAきっての鉄人、ストックトン~<Number Web> photograph by NBAE/Getty Images

引退までジャズ一筋。アトランタ五輪ではドリーム・チームの一員として金メダルを獲得

 ジョン・ストックトン(元ユタ・ジャズ)といえば、通算アシスト数、そして通算スティール数で、NBA歴代1位の記録を持つ名ポイントガードだ。特別に身体能力が高いわけでも、体格がいいわけでもないが、その正確な判断力と正確なプレー、そして19シーズンほとんど休むことなく試合に出続けた耐久力によってリーグにくっきりと足跡を残して、6年前に引退した。そして、その功績が認められ、9月11日、バスケットボールの殿堂入りの栄誉に輝いた。

 私生活でも妻と6人の子供に恵まれた。長年支えてくれた妻には、殿堂入りのスピーチでも「妻は自分の人生において最高の判断だった」と賞賛と感謝を捧げていた。コート上で多くのすばらしい判断力を見せてきたストックトンからのこの言葉は、最高のほめ言葉だ。

「1年でクビになるに違いない」──自分の実力は見誤った。

 そんなストックトンだが、こと自己評価となると判断が鈍ってくる。殿堂の舞台に立ったときも、同時に殿堂入りした名選手、名監督を称えた後に「自分は何でここにいるんだろうか」と真顔で言っていたが、名選手としてはあまりに謙虚なのだ。それも謙遜しているのではなく、どうやら心からそう思っているらしい。

 25年前、1巡目16位でジャズからドラフト指名されたときには、将来の殿堂入りはおろか、1年以上NBAに残れるわけがないとまで思っていたと言う。

「ジャズも、すぐに自分の力を見破り、間違いに気づくと思っていた」とストックトンは、当時を振り返る。「だから、給料は全部貯金した。家具付の1ベッドルームの部屋を借りて、テレビも買わなかった。格安のスーパーに行ってチリビーンの缶を買い込み、母に作ってもらったラザーニャを冷凍庫に蓄えていた。1年でクビになるに違いないと思っていた」

謙虚すぎる紳士だが、ジョーダンへの対抗意識は隠さない。

 そんな彼が、競争の激しいNBAで殿堂入りするほどの実績を残すことができたのは、謙虚な心と同じぐらい負けず嫌いの気持ちがあり、どんなスーパースターと対しても気後れしないタフさがあったからだ。

 ともに殿堂入りしたマイケル・ジョーダンを見たがる家族や友人の話を冗談交じりでした後に言った。

「たかが1本ビッグショットを決めただけで、みんなが彼のことをかっこいいと思っている。僕には理解できない」

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