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ベネズエラの問題児は
どこまで世にはばかるか。 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

PROFILE

posted2009/04/13 07:00

 デビュー以来の24戦をすべてKOで飾り、なおパーフェクト記録を更新中のエドウィン・バレロの周辺が何やら慌ただしい。ベネズエラのKOアーティストに一体何が起こったのか?

 昨年6月、日本武道館で嶋田雄大の挑戦を7回TKOに撃退したのを最後に、バレロはリングに上がっていない。ようやく4月4日、米国テキサスで2階級世界制覇を狙って、マニー・パッキアオ返上のWBC世界ライト級王座決定戦出場が決まったが、日本のリングへの登場は絶望的になった。というのも、つい最近帝拳プロモーションから契約を打ち切られてしまったからだ。これは、王様のごときわがままが度を超し、本田明彦プロモーターもついにさじを投げた、というのが真相のようだ。同時に名匠ケニー・アダムストレーナーとも決別した。「パッキアオを倒す」と豪語して米国に移住したバレロの前途は多難だ。

ベネズエラのチャベス大統領の熱烈な信奉者

 ところで、ベネズエラといえばチャベス大統領の極端な反米主義が有名だが、実はバレロは、無冠時代から大統領の友人にして信奉者として知られている。来日間もない頃、帝拳ジムでのポートレート撮影時にこんな光景を目撃した。試合用トランクスを着用しようとしたバレロに、本田会長が近づいて耳打ち。すると、バレロは同僚だったホルヘ・リナレスから借りたトランクスに履き替えた――。自前のものにはチャベス大統領の顔が大きく描かれていたからだ。当時のバレロは、プロ転向前のバイク事故による頭部傷害歴を隠していたとして、米国で試合ができずに困っていた。本田会長もここでチャベスを持ち出されては、米国進出も水泡に帰すと懸念したのだ。

 バレロは「友人だからではなく、彼の政策を支持している」と語っている。自身は現在、自国のスポーツ選手育成のための基金を運営しているが、この活動をチャべス大統領は支援してくれるという。

反米のタトゥーを胸に刻み、テキサスへ乗り込む

 帝拳から離れて“親チャベス”がさらにエスカレートしたのか、バレロは最近、胸いっぱいにベネズエラ国旗とチャベスの顔をあしらったショッキングなタトゥーを刻印した。5年4カ月ぶりの米国のリング登場で、ファンもさぞやびっくりすることだろう。聡明なボクサーだけに、これもパッキアオ戦実現に向けての「計算ずく」に違いない。

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